総合点

総合ランク
成分数
植物エキスの数
コスパ
安全性
素材の品質
洗浄剤の品質
洗浄力
髪補修力
育毛力
使用感の良さ
エイジングケア
ホワイトニング効果
保湿効果
スキンケア力
環境配慮
浸透力
即効性
持続性
ツヤ感
サラサラ感
特に優れた素材
注意が必要な素材
香り
サイズ (cm)
サブカテゴリ
メーカー
松山油脂ブランド
Mマーク(M-mark)容量
380ml参考価格
1287円1ml単価
3.4円JAN
4954540166039ASIN
B0FPR3QH21発売日
2025-09-17ID
10980全成分
解析チームです。松山油脂といえば、創業から100年以上の歴史を持つ老舗メーカーでありながら、「質実剛健」を体現する企業姿勢で知られています。華やかな宣伝文句や流行に惑わされることなく、あくまで実用性と安全性を重視する同社の製品づくりは、今回のローズマリーのアミノ酸せっけんシャンプーにも色濃く反映されています。今回は業界平均を大きく下回る評価点1.56点という数値が示す現実と、石鹸ベースシャンプーが持つ根本的なジレンマについて、専門的かつ率直に解析していきます。
本製品は解析ドットコムでの総合ランク2727位(全3036個中)、総合点わずか1.56点という厳しい現実に直面しています。これは上位9%に位置する売上ランキング3,129位という市場評価とは対照的な結果で、消費者の購買行動と専門的評価の間に大きな乖離が存在することを示唆しています。
[1]特に注目すべきは配合成分レベルの0.4点という極めて低い評価です。これは業界平均(約2.5点)の6分の1以下という数値で、石鹸ベースの根本的な限界を如実に表しています。洗浄力は3.8点と高評価を得ているものの、これは諸刃の剣となっており、強力な洗浄力が安全性1.8点、髪補修力0.9点という低スコアの要因となっています。
興味深いのはコストパフォーマンスの1.73点という評価で、1,287円という価格設定にも関わらず決して「お得」とは評価されていません。これは価格以上に製品価値が低いと判断されていることを意味し、単純な価格競争力では測れない品質面での課題を浮き彫りにしています。
主成分であるカリ石ケン素地は、pH9-10の強アルカリ性を示します。健康な髪と頭皮が弱酸性(pH4.5-5.5)であることを考えると、これは化学的な衝突と言えるでしょう。東京理科大学の2020年研究によると、アルカリ性環境下では髪のキューティクルが開き、内部のタンパク質流出が促進されることが確認されています。まるで城門を開け放つようなもので、外敵(ダメージ)の侵入を容易にしてしまうのです。
[2][3][4]さらに深刻なのは、水道水中のカルシウムイオンとの反応により形成される石鹸カス(脂肪酸カルシウム)の問題です。この不溶性物質は髪に蓄積し、慢性的なごわつきの原因となります。これは単なる使用感の問題ではなく、化学的な毛髪表面の変質を意味しています。
[3]九州大学の2019年研究では、アルギニン誘導体が毛髪ケラチンとの親和性を示すことが報告されています。理論上は髪の損傷部位に選択的に吸着し、補修効果を発揮するはずです。しかし、本製品においては石鹸の強アルカリ環境下で、この効果がどの程度維持されるかは疑問視されます。
[5][6]実際、アミノ酸系洗浄剤の効果を最大化するには弱酸性環境が前提条件とされており、アルカリ性石鹸との組み合わせは理論的矛盾を内包していると言わざるを得ません。
[7][8]2015年のSKINmed誌に掲載された研究では、ローズマリーオイルがミノキシジル2%と同等の育毛効果を示したと報告されています。平方センチメートル当たり19.6本対22.4本という数値は確かに注目に値します。また、九州大学の2022年研究でも、ローズマリー精油の毛髪サイクル活性化効果が確認されています。
[9][10]しかし、これらの研究は単体使用での結果であり、石鹸シャンプーというハードな環境下での効果維持については言及されていません。ローズマリーの5α還元酵素阻害作用も、わずか1-2%程度の配合濃度では期待値を大幅に下回る可能性が高いでしょう。
メリット:環境負荷と洗浄力の二重奏
石鹸の最大の利点は、その生分解性の高さです。カリ石ケン素地は水中で完全分解されるため、環境負荷は極めて軽微です。また、3.8点という洗浄力評価が示すように、皮脂や汚れの除去能力は確実に高水準を維持しています。特に脂性頭皮の方には、この強力な洗浄力は確かに魅力的でしょう。
[11]さらに、シリコンや合成ポリマーを一切使用しない処方により、髪本来の質感を体験できる点も見逃せません。これは「素髪」への回帰とも言える体験で、過度なコーティングに慣れた現代人には新鮮な驚きを与えるかもしれません。
デメリット:科学的必然性としての限界
しかし、デメリットはより深刻かつ根本的です。京都大学の2018年研究によると、pH9以上のアルカリ環境では毛髪の膨潤と軟化が進行し、機械的強度が最大40%低下することが確認されています。これは単なる一時的な変化ではなく、繰り返し使用により蓄積的ダメージとなって現れます。
[2]特に問題なのは、現代女性の約70%がカラーリングやパーマなどの化学処理を受けている現実です。既にダメージを受けた髪に対してアルカリ性洗浄剤を使用することは、傷口に塩を塗るようなものと言えるでしょう。
[12]コストパフォーマンスの観点でも、1,287円という価格は決して安価ではありません。同価格帯のアミノ酸系シャンプーと比較すると、髪への優しさや補修効果において明らかな劣勢は否めません。市場には1,500円前後で優秀なアミノ酸系シャンプーが多数存在することを考慮すると、本製品の価格設定は戦略的に疑問符がつきます。
[13]昭和の頑固親父のような製品。良いものは良い、悪いものは悪いとはっきりしているが、時代の変化についていけない。
ローズマリーのアミノ酸せっけんシャンプーは、松山油脂の「質実剛健」な企業姿勢を体現した製品ですが、現代のヘアケア科学から見ると明らかに時代遅れの感は否めません。石鹸の根本的なアルカリ性という性質は、どのような工夫を加えても覆すことができない化学的制約なのです。
しかし、ここで一つの視点を提示したいと思います。私たちは本当に髪に「優しさ」だけを求めるべきなのでしょうか?現代社会では、過度な保護と甘やかしが当然視されがちですが、時には厳しい洗浄で頭皮をリセットすることも必要かもしれません。特に、シリコンや合成ポリマーでコーティングされ続けた髪にとって、この「デトックス」的な体験は意外な価値を持つ可能性があります。
ただし、これは健康な髪に限った話です。既にダメージを受けた髪、カラーリング毛、敏感肌の方には決してお勧めできません。むしろ、このような方々には優しいアミノ酸系シャンプーへの切り替えを強く推奨します。
シャンプー解析ドットコム・カイセキストアなどを運営。