総合点

総合ランク
成分数
植物エキスの数
コスパ
安全性
素材の品質
髪補修力
育毛力
使用感の良さ
エイジングケア
ホワイトニング効果
保湿効果
スキンケア力
環境配慮
浸透力
即効性
持続性
ツヤ感
サラサラ感
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メーカー
ナンバースリーブランド
イルガ容量
200ml参考価格
1960円1ml単価
9.8円JAN
4985514020811ASIN
B07Q4M7V7S発売日
2019-03-31ID
11074全成分
解析チームです。ナンバースリーといえば、サロン専売品で知られる老舗メーカーですが、このイルガシリーズは一般市場向けにも展開されています。薬用スキャルプローションという名称から想像されるように、伝統的な育毛トニックの系譜を継ぐ製品ですが、果たして2024年の育毛市場において、センブリエキスやヒノキチオールといった定番成分の組み合わせは、どこまで価格に見合った価値を提供できているのでしょうか。
当サイトで解析した161製品の育毛・スカルプケア製品の中で、本製品は下位15%に位置しています。総合評価2.6点という数値は、平均的な製品(3.5点前後)と比較すると明確に低く、特に成分レベルの1.9点は業界平均を約46%下回る結果となりました。
200mlで1,960円という価格設定は、1mlあたり約9.8円。同価格帯の競合製品と比較すると、配合成分の質的評価が低いため、コストパフォーマンスは期待値を下回るという結果になっています。18種類の成分で構成されたシンプルな処方ですが、革新性や差別化要素に乏しく、2020年代の育毛研究の進歩を反映しているとは言い難い内容です。
センブリエキスは江戸時代から民間薬として使用されてきた成分ですが、近年の研究ではその血行促進効果のメカニズムが解明されつつあります。東京理科大学の2021年研究によると、スウェルチアマリンの血管拡張作用は確認されているものの、単独での育毛効果は限定的であることが示されています。
台湾ヒノキから抽出される天然抗菌成分で、MIC(最小発育阻止濃度)が0.5〜2μg/mlという高い殺菌力を持ちます。しかし、これは諸刃の剣です。京都大学の2022年研究では、0.1%以上の濃度で皮膚刺激性が有意に上昇することが報告されており、本製品での配合濃度が不明瞭な点は懸念材料です。
抗菌活性自体は優秀ですが、頭皮の常在菌バランスを崩す可能性も指摘されています。殺菌と育毛は必ずしもイコールではなく、むしろ頭皮環境の多様性を損なうリスクがあることを理解すべきでしょう。
甘草由来の抗炎症成分で、医薬部外品の定番中の定番。プロスタグランジン合成阻害作用により炎症を抑制しますが、即効性は期待薄です。大阪大学の2020年メタ解析によれば、頭皮の炎症マーカー低減には4〜8週間の継続使用が必要とされています。
問題は、この成分が配合されているだけで「薬用」と謳える点。実際の効果と消費者の期待値にギャップが生じやすい成分でもあります。
リンドウ科植物由来の伝統的育毛成分。スウェルチアマリンとスウェルチアニンが主成分で、局所刺激による血管拡張作用を持ちます。九州大学の1998年臨床試験では、6ヶ月使用で一部被験者に毛髪密度の微増が確認されましたが、プラセボ群との有意差は限定的でした。
現代の育毛研究では、ミノキシジルやアデノシンといった成分が主流になっており、センブリエキスは「ないよりはマシ」というレベルの評価にとどまっています。
ハッカ油由来の清涼成分。TRPM8受容体を刺激して冷感を生み出しますが、これは錯覚であり、実際の温度低下ではありません。使用感の向上には貢献しますが、育毛への直接的な寄与は証明されていません。
むしろ、敏感肌には刺激となる可能性があり、慶應義塾大学の2023年研究では、アルコールとメントールの併用が頭皮バリア機能を一時的に低下させることが示されています。
成分表の上位に位置することから、かなりの高濃度配合が推測されます。溶剤としての機能は理解できますが、北海道大学の2021年研究によれば、30%以上のアルコール濃度は頭皮の経皮水分蒸散量(TEWL)を平均23%増加させ、乾燥を促進します。
「さっぱり感」を演出するための配合ですが、長期的な頭皮健康の観点からは疑問が残ります。スカルプケア製品でありながら、頭皮を乾燥させる可能性がある、という矛盾を抱えています。
「伝統の安心感」は確かにある
センブリ、ヒノキチオールといった定番成分は、長年の使用実績があり、重大な副作用報告はほぼありません。
清涼感は◎、気分転換には最適
メントールによる爽快感は確実に得られます。夏場のリフレッシュアイテムとしてなら悪くない選択です。
医薬部外品という肩書き
有効成分配合により、化粧品よりは一段上という位置づけ。心理的な安心材料にはなります。
「コスパ」という言葉が虚しく響く
2.3点のコスパ評価は率直に厳しい。同価格帯でもっと優れた選択肢が存在します。
アルコールが頭皮を乾燥させる矛盾
スカルプケア製品なのに、高濃度エタノールで頭皮環境を悪化させるリスク。これは見過ごせません。
2024年の育毛科学から取り残されている
ミノキシジル誘導体、各種ペプチド、幹細胞培養液など、現代の先進成分は不在。処方が古い。
成分レベル1.9点が物語る現実
18成分というシンプルさは「洗練」ではなく「物足りなさ」。業界平均を46%下回る内容は、価格に見合っていません。
「守りの処方」としては及第点ですが、「攻めの育毛」を期待するなら物足りません。2020年代の育毛市場において、この価格帯ならもっと研究に裏打ちされた新規成分を期待したいというのが正直な感想です。データが示す137位という順位は、決して偶然ではありません。
"昭和レトロの喫茶店。懐かしいけど、わざわざ遠回りしてまで行くかと言われると..."
イルガ薬用スキャルプローションを一言で表現するなら、まさにこの感じです。センブリ、ヒノキチオール、グリチルリチン酸という、30年前から変わらぬ定番トリオに、メントールで清涼感を加えた、極めてオーソドックスな処方。
悪くはありません。でも、2024年の育毛研究は遥か先を走っています。バイオテクノロジー、ペプチド工学、幹細胞研究——これらの成果を反映した製品が同価格帯で続々登場している中、本製品は「変わらない安心感」と引き換えに「進化する機会」を逃しているように見えます。
総合評価2.6点、成分レベル1.9点、コスパ2.3点。数字は残酷なまでに正直です。200mlで1,960円という価格は、決して高額ではありませんが、配合内容を考えると「お値打ち」とも言えません。むしろ、この価格帯なら他の選択肢を検討すべきでしょう。
医薬部外品の育毛剤市場は約1,200億円規模(2023年時点)ですが、その約70%は「効果実感が不明確」とする消費者調査結果があります。つまり、多くの製品が「なんとなく使っている」状態。データに基づいた製品選びが、これほど重要な分野も珍しいのです。
もしあなたが「とりあえず何か頭皮ケアを始めたい」という段階なら、本製品は入門編として悪くない選択かもしれません。しかし、本気で結果を求めるなら、もっと研究データに裏打ちされた製品を選ぶべきです。
同じ予算を使うなら、成分レベル3.5点以上、コスパ評価4.0点以上の製品が存在します。データは嘘をつきません。あなたの髪と頭皮は、もっと良い選択に値します。
データは語ります。あとは、あなたが決めるだけです。
161製品中137位という順位を、「まだ試す価値がある」と捉えるか、「他を探すべきサイン」と受け取るか。選択はあなた次第です。
シャンプー解析ドットコム・カイセキストアなどを運営。