解析結果
総合点
総合ランク
成分数
植物エキスの数
コスパ
安全性
素材の品質
洗浄剤の品質
洗浄力
髪補修力
育毛力
使用感の良さ
エイジングケア
ホワイトニング効果
保湿効果
スキンケア力
環境配慮
浸透力
即効性
持続性
ツヤ感
サラサラ感
特に優れた素材
注意が必要な素材
メーカー
ブランド名
THE PROFESSIONAL HAIR CARE(ザ プロフェッショナル ヘアケア)容量
300ml参考価格
990円1mlあたり
3.3円KaisekiID
9697全成分
解析チームです。800人の美容師と共に開発、発売からわずか2ヶ月で1万本を売り上げたという触れ込みで登場した「THE PROFESSIONAL HAIR CARE」。プロ仕様を手の届く価格で、というコンセプトはよく耳にしますが、このブランドが興味深いのはその先です。ヴィーガン、PeTA、さらにはハラール認証まで取得し、動物実験を行わず、動物由来原料も一切使用しないという徹底した姿勢。容器もバイオマスプラスチックを採用した詰め替えパウチのみという、環境負荷への並々ならぬ配慮が見て取れます。これは単なるヘアケア製品という枠を超え、ライフスタイルや価値観に対する一つの「提案」と言えるのではないでしょうか?果たしてその使い心地は、高らかに掲げた理想に見合うものなのか。今回はその実力を、成分の隅々から厳しく、しかし愛をもって解き明かしていきたいと思います。
さて、早速このシャンプーの成績表を見ていきましょう。解析ドットコムにおける総合ランキングは3036製品中640位。これは上位約21%に食い込む、なかなかの優等生です。特に注目すべきは、「全体的な安全性」が5点満点中4.5点という驚異的なハイスコアを叩き出している点。これは、市販されているシャンプーの中でもトップクラスの数値で、肌への優しさを最優先に考える方にとっては非常に心強い指標となります。さらに、「洗浄剤の品質」も4.2点、「保湿力」も4.0点と高水準。一方で、「髪補修力」は3.0点、「スカルプケア力」は2.7点と、突出したダメージケアや積極的な頭皮ケアを求めるには少し物足りなさが残るかもしれません。このスタッツから透けて見えるのは、「守り」に特化した処方設計です。刺激の強い成分を徹底的に排除し、マイルドな洗浄力と高い保湿力で髪と頭皮を優しく洗い上げる。まさに、日々のバスタイムを健やかな習慣にしたいと願う多くの人に応えるための、誠実なバランス感覚が光る製品と言えるでしょう。
このシャンプーの「安全性4.5点」というスコアを支えるダブルエースがこの2つの洗浄成分です。まずココイルグルタミン酸TEAは、アミノ酸系洗浄成分の中でも特にマイルドで、肌の潤いを守りながら洗う能力に長けています。洗い上がりがしっとりするため、乾燥肌や敏感肌向けの製品で頻繁に採用されます。ただし、単体では泡立ちが弱いという弱点も。そこで登場するのがココイルメチルタウリンNa。こちらは適度な洗浄力と豊かな泡立ちを両立させ、さっぱりとした使用感をもたらすバランス型の優等生です。この2つを組み合わせることで、「低刺激」と「心地よい使用感」という、ともすれば相反する要素を見事に両立させているのです。まさに、処方技術の妙が光るコンビネーションと言えますね。
きました、ノーベル賞受賞成分としても有名なフラーレン。その最大の武器は、ビタミンCの172倍ともいわれる強力な抗酸化作用です。紫外線やストレスによって発生する活性酸素(いわばカラダのサビ)から頭皮を守り、健やかな環境を維持する働きが期待されます。余談ですが、フラーレンはそのサッカーボールのような特徴的な分子構造から、発見者に敬意を表して建築家バックミンスター・フラーにちなんで名付けられました。この製品のエイジングケアスコアは2.4点と控えめですが、紫外線ダメージが気になる方にとって、この成分が配合されていること自体が大きな付加価値となるでしょう。
通称「スーパーヒアルロン酸」。通常のヒアルロン酸の約2倍の保水力を持つとされ、その秘密は水分を抱え込む親水性と、肌や髪になじみやすい疎水性の両方を併せ持つ構造にあります。これにより、洗い流した後も角質層にしっかりと留まり、潤いのヴェールを形成。このシャンプーの「保湿力4.0点」という高評価は、この成分の貢献が大きいと考えられます。髪のパサつきはもちろん、頭皮の乾燥によるつっぱり感が気になる方には、まさに救世主のような存在です。
ダメージ補修成分として配合されているのが、この加水分解エンドウタンパクです。えんどう豆由来の植物性タンパク質(ペプチド)で、髪の内部に浸透し、ダメージホールを埋めるように補修する働きが期待されます。2014年のin-cosmetics(世界最大級の化粧品原料展示会)でイノベーションアワードを受賞した成分でもあり、特にキューティクルのリフティング(ささくれ立ち)を抑制する効果が報告されています。動物由来のケラチンなどに比べると効果はマイルドですが、ヴィーガン処方を実現しながら補修効果を持たせるための、考え抜かれた選択と言えるでしょう。
このシャンプー最大の魅力は、なんといってもその徹底した倫理観と、それを裏付ける処方設計にあります。ヴィーガン、PeTA認証という「動物に優しく」というメッセージは、成分選定にも色濃く反映されています。安全性スコア4.5点が示す通り、ココイルグルタミン酸TEAを主軸としたアミノ酸系の洗浄剤は、敏感肌の方でも安心して使えるレベルの優しさです。世に「オーガニック」や「ボタニカル」を謳う製品は数多くありますが、ここまで厳格な第三者認証を取得している製品は稀。これは、思想と品質が一致している何よりの証拠です。さらに、ノンシリコンでありながらPPG-3カプリリルエーテルやアセチルヒアルロン酸Naを配合することで、きしみを抑え、保湿力4.0点という高い潤いを実現しています。これは、ただ優しいだけでなく、使用感にも妥協しないという開発陣の強い意志を感じますね。
一方で、デメリットを率直に指摘するならば、「攻め」のケアには向かないという点です。髪補修力スコア3.0点が示すように、加水分解エンドウタンパクは配合されているものの、ハイブリーチや縮毛矯正を繰り返した深刻なダメージヘアを劇的に回復させるほどの力はありません。あくまで「日々のダメージを予防し、健やかな状態をキープする」という守備的な役割です。同様に、スカルプケアスコアも2.7点と平均的。フラーレンによる抗酸化ケアは期待できますが、育毛や本格的な頭皮トラブルの改善を目的とするには力不足でしょう。このシャンプーは、「現状維持」と「予防」のスペシャリスト。深刻な悩みを抱えている方は、アウトバストリートメントや専用のスカルプケア製品との併用を前提に考えるのが賢明です。価格は990円/300mlと、この品質と認証背景を考えれば、コストパフォーマンスは非常に高いと言えます。
ここまで見てきたように、「ザ シャンプー(ダメージリペア)」は、単なる洗浄剤ではありません。それは、「毎日使うものだからこそ、自分の価値観に合うものを選びたい」と考える人のための、一つの明確な答えです。肌への優しさを極めた洗浄成分、確かな保湿力、そして何より、動物や環境に配慮したという揺るぎないストーリー。このシャンプーを選ぶことは、髪を洗うという行為を通じて、自分のスタンスを表明することに近いのかもしれません。もちろん、ブリーチを繰り返した髪をサラサラに生き返らせるような魔法はありません。しかし、日々のシャンプーによるダメージ要因を限りなくゼロに近づけ、髪と頭皮が本来持つ力をじっくりと育んでいく。そんな、地に足のついたアプローチがこの製品の真骨頂です。
シャンプー解析ドットコム・カイセキストアなどを運営。