解析結果
総合点
総合ランク
成分数
植物エキスの数
コスパ
安全性
素材の品質
洗浄剤の品質
洗浄力
髪補修力
育毛力
使用感の良さ
エイジングケア
ホワイトニング効果
保湿効果
スキンケア力
環境配慮
浸透力
即効性
持続性
ツヤ感
サラサラ感
特に優れた素材
注意が必要な素材
香り
サイズ (cm)
サブカテゴリ
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メーカー
I-neブランド名
DROAS(ドロアス)容量
400ml参考価格
1100円1mlあたり
2.8円JANコード
4582521684939ASIN
B0BV71LQHB発売日
20230301KaisekiID
8965全成分
解析チームです。シャンプー市場において、巧みなブランディングとコンセプト設計で次々とヒット作を生み出すI-ne社。その手腕は、BOTANISTやYOLUといったブランドの成功を見れば明らかでしょう。そんな彼らが新たに市場に投じた「DROAS(ドロアス)」は、「泥」の吸着力に着目したクレンズケアを掲げています。しかし、このリニューアルされた「シルキークレンズ シャンプー」、果たしてその実力は本物なのでしょうか?我々の解析データは、このシャンプーが持つ強烈な個性、つまり「光と影」を浮き彫りにしました。洗浄力と補修力のアンバランスな関係性、そしてその裏に隠された製剤設計の意図とは一体何なのか。今回はその核心に深く切り込んでいきたいと思います。
さて、まずはこのシャンプーの全体像をデータで見ていきましょう。当解析ドットコムにおける総合ランキングでは3036製品中1806位と、ちょうど中間あたりに位置しています。総合スコアも5点満点中2.31点と、正直なところトップクラスとは言えません。しかし、このシャンプーの真価は平均値では測れない部分にあります。注目すべきは、その評価の極端なばらつきです。洗浄力は5.1点と規格外の数値を叩き出し、全製品の上位約2%に食い込むほどのクレンジング性能を誇ります。さらに、使用感は4.6点、保湿力も4.4点と非常に高い評価を得ています。一方で、その洗浄力の源である洗浄剤の品質は1.2点という厳しい評価。これは、設計思想が「優しさ」よりも「洗浄効率」に大きく舵を切っていることを示唆しています。配合成分の充実度(3.3点)や髪補修力(3.0点)は平均レベルを確保しつつも、スカルプケア力(2.1点)はやや低め。このスタッツは、まさに「特定の目的を達成するため、いくつかの要素を犠牲にした特化型シャンプー」であることを物語っています。
このシャンプーの洗浄力を定義づける主成分です。ラウレス硫酸Naに匹敵、あるいはそれ以上の強力な脱脂力を持ち、豊かな泡立ちで皮脂や汚れを根こそぎ洗い流す能力に長けています。そのパワフルさゆえに、洗浄剤の品質スコアを大きく下げる要因ともなっています。クレンジング力を最優先する製品、例えばオイリー肌向けの洗顔料などでは定番ですが、毎日のシャンプーの主剤としてはかなり挑戦的な選択と言えるでしょう。
通称「シルクヒートプロテイン」。こいつがまた面白い働きをしまして、ドライヤーなどの熱に反応して髪の表面に強固な保護膜を形成するんです。この成分のおかげで、強力な洗浄後も指通りが良く、ツヤのある仕上がりが期待できます。強力な洗浄剤という「ムチ」の後に、この上質なコーティングという「アメ」を用意する、非常に計算された処方設計が見て取れます。研究によれば、この種の成分は従来のシリコーンよりも持続性が高い保護膜を形成することが示唆されています。
羊毛由来のコンディショニング成分で、健康な髪のキューティクル表面に存在する脂質「18-MEA」に極めて近い構造を持っています。洗浄によって失われがちな髪のバリア機能を補い、キューティクルのめくれ上がりを接着剤のように抑え込む働きがあります。これにより、髪のまとまりやツヤ感を向上させます。強力な洗浄力を持つシャンプーにおいて、こうした補修成分の存在は使用感を左右する重要な鍵となります。
本製品のコンセプトの核となる「泥」成分。微細な多孔質の粒子が、毛穴の奥の皮脂やスタイリング剤の残留物などを物理的に吸着して除去します。化学的な洗浄を行う界面活性剤と、物理的な吸着を行うクレイの相乗効果によって、このシャンプーの驚異的な洗浄力(スコア5.1)が実現されているわけです。ただし、スクラブのように働くため、頭皮への刺激を考慮する必要もあります。
オレフィン(C14-16)スルホン酸Naという主役の横を固める、いわば「優しさ担当」の助演俳優たちです。特にココイルグルタミン酸TEAは非常にマイルドでコンディショニング効果が高い一方、ココイルメチルタウリンNaは洗浄力、泡立ち、低刺激性のバランスに優れています。これらのアミノ酸系洗浄剤をブレンドすることで、オレフィン系の刺激性をいくらか緩和し、洗い上がりのキシみ感を軽減する狙いがあると考えられます。
このシャンプーを語る上で避けては通れないのが、その「圧倒的な洗浄力」と「それを補うための高度な後処理」という二面性です。まず最大のメリットは、その卓越したクレンジング能力にあります。オレフィン(C14-16)スルホン酸Naと海シルトのタッグは、まるで頭皮の大掃除。ワックスやオイルで固めた髪も、一日の終わりにベタつく頭皮も、これ一本でリセットされる感覚は、特に脂性肌の方にとっては爽快そのものでしょう。これが使用感スコア4.6という高評価に直結しています。さらに、その強力な洗浄によるダメージ感を巧みに覆い隠すのが、(ジヒドロキシメチルシリルプロポキシ)ヒドロキシプロピル加水分解シルクやクオタニウム-33といった補修成分です。これらが髪表面を滑らかにコーティングし、あたかも髪が傷んでいないかのようなサラサラとした手触りを実現します。洗浄力と使用感を両立させるという、製剤技術の妙が光るポイントです。
しかし、その裏には明確なデメリットが存在します。それは、洗浄基剤そのもののクオリティです。洗浄剤の品質スコアが1.2という数値が示す通り、主剤のオレフィン(C14-16)スルホン酸Naは、髪や頭皮のタンパク質に対して変性を起こしやすい、つまり刺激性が高い成分であることが知られています。Journal of Oleo Scienceに掲載された研究などでも、他のアミノ酸系洗浄剤と比較してそのタンパク質変性作用の高さが指摘されています。乾燥肌の方や、ヘアカラー、パーマでダメージが進行している髪には、この強力な脱脂力がバリア機能をさらに低下させ、乾燥や刺激を招く可能性があります。いくら後から補修成分でコーティングしても、土台となる髪と頭皮への負担は避けられません。スカルプケアを謳うには、この洗浄力は少々アグレッシブすぎるかもしれません。まさに「諸刃の剣」と言えるでしょう。
さて、DROAS シルキークレンズ シャンプー、総括すると「週末のスペシャルケア、あるいはパワフルなリセットボタン」といった立ち位置のシャンプーです。毎日使うには少しばかりパワフルすぎる洗浄力が、逆に週に1〜2回のディープクレンジングとして使った時には、他のシャンプーでは得られない圧倒的な爽快感をもたらしてくれます。普段落としきれないスタイリング剤や毛穴の汚れを一度リセットし、まっさらな髪と頭皮を取り戻す。そのための「飛び道具」として、あなたのバスルームに一本置いておく価値は十分にあります。強力な洗浄力を、選び抜かれた補修成分で見事にコーティングして「良いシャンプー」に感じさせる技術力はさすがI-ne社といったところ。ただし、その本質はあくまでクレンザー。乾燥が気になる方や、繊細な頭皮環境の方がデイリーユースとして選ぶのは、少し待った方が賢明かもしれません。あなたの髪と頭皮のコンディションをしっかり見極めて、この個性的な一本を使いこなしてみてください。
シャンプー解析ドットコム・カイセキストアなどを運営。