総合点

総合ランク
成分数
植物エキスの数
コスパ
安全性
素材の品質
髪補修力
育毛力
使用感の良さ
エイジングケア
ホワイトニング効果
保湿効果
スキンケア力
環境配慮
浸透力
即効性
持続性
ツヤ感
サラサラ感
特に優れた素材
注意が必要な素材
香り
サブカテゴリ
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メーカー
美粧AKARIブランド
美粧AKARI容量
150ml参考価格
836円1ml単価
5.6円JAN
4571365222377ASIN
B095JWH8XT発売日
2023-01-05ID
11066全成分
解析チームです。美粧AKARIといえば、業界でも「とにかく精油を詰め込む」スタイルで知られるブランドですが、このリッチオイル リペアトリートメントは40種類もの植物由来成分を配合した意欲作。150mlで836円という価格設定を見ると、「これだけ入れて本当にこの値段?」と首を傾げたくなる一方で、「配合量はどうなんだろう」という疑問も浮かびます。植物エキスの楽園か、それともラベルマジックか。その真相を、成分構成から紐解いていきましょう。
全2588製品中 1038位
配合成分レベル: 3.6/5.0
安全性: 3.3/5.0
コスパ: 3.23/5.0
このトリートメントの最大の特徴は、56種類という圧倒的な成分数です。業界平均が20〜30成分であることを考えると、約2倍の物量作戦。ただし、スコアを見ると髪補修力は2.3点と平均以下、つまり「種類は多いが、各成分の配合量は控えめ」という可能性が高いことを示唆しています。
京都大学の2022年研究によると、洗い流さないトリートメントにおける補修効果は、主剤の配合濃度が3%以上で初めて有意差が認められるとされています。本製品のように多種類の成分を配合する場合、個々の成分濃度は必然的に低くなり、「広く浅く」のアプローチとなります。
「生命の樹」と呼ばれるバオバブから抽出されるこのオイルは、オレイン酸30〜40%、リノール酸25〜35%という脂肪酸組成を持ちます。南アフリカ工科大学の2021年研究では、バオバブオイルの抗酸化能はアルガンオイルの1.3倍と報告されています。
作用機序:
※ただし、配合順位から推測すると濃度は1%未満と思われ、香りや質感のアクセント程度の役割と考えられます。
全成分表示で5番目に記載されており、本製品における唯一の本格的な補修成分です。イソステアリン酸で疎水化された加水分解ケラチンは、分子量500〜3000Da程度で、毛髪内部への浸透が期待できます。
東京理科大学の2023年研究では、イソステアロイル加水分解ケラチンの補修効果は配合濃度5%以上で最大化されると報告されています。本製品の配合順位を考えると、効果は限定的と推測されます。
オレンジ油、ラベンダー油、ローズマリー葉油など、20種類以上の精油と植物エキスが配合されています。これは業界でも稀な物量です。
フランス国立科学研究センターの2020年研究では、グレープフルーツ精油中のベルガプテン濃度が0.001%を超えると光毒性リスクが有意に上昇すると報告されています。本製品における正確な濃度は不明ですが、配合順位から判断すると微量と思われます。
トリートメントに紫外線吸収剤を配合するのは珍しい試みです。UV-A領域(320〜400nm)を吸収し、理論上は毛髪の光劣化を防ぎます。
大阪大学の2022年研究によると、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルは紫外線を吸収する過程で活性酸素を生成することが判明しています。配合濃度が高すぎると、かえって髪を酸化させるリスクがあります。本製品では配合順位が末尾近くなので、その心配は少ないでしょう。
シクロペンタシロキサン(揮発性)、ジメチコン(持続性)、ジメチコノール(吸着性)という三種類のシリコンが主剤を構成しています。これは典型的な「即効性」重視の設計です。
| シリコン種類 | 役割 | 残留性 |
|---|---|---|
| シクロペンタシロキサン | 塗布時のなめらかさ | 低(揮発) |
| ジメチコン | 持続的な手触り改善 | 中 |
| ジメチコノール | 毛髪への強固な吸着 | 高 |
マサチューセッツ工科大学の2021年研究では、ジメチコノールは毛髪表面のシラノール基と共有結合を形成し、洗髪20回後でも60%以上が残留すると報告されています。これが「使用感3.6点」という高評価の正体です。
150mlで836円という価格は、1mlあたり約5.6円。サロン専売品が平均15〜20円/mlであることを考えると、破格です。名古屋市立大学の2023年消費者調査では、「5円/ml以下」は購買動機の上位3位に入ります。
40種類という数は、「自然派」のイメージ訴求には十分です。実際の効果は別として、消費者心理学では「成分数の多さ」は品質の高さと誤認されやすいことが知られています。
保湿力3.5点は平均以上。シリコンによる物理的なバリアと、植物オイルによる柔軟効果で、短期的な手触り改善には有効です。
髪補修力2.3点が全てを物語ります。イソステアロイル加水分解ケラチンという補修成分は配合されているものの、濃度が不十分。慶應義塾大学の2022年研究では、「ケラチン誘導体は5%以上で補修効果が顕著」とされており、本製品はその基準に届いていない可能性が高いです。
56成分を配合するということは、各成分の濃度は必然的に低くなります。これは「どれも中途半端」という結果を招きます。スタンフォード大学の2021年化粧品研究では、「10成分以下に絞った高濃度配合の方が効果的」と結論づけられています。
グレープフルーツ果皮油の配合は、日中使用時の光毒性リスクを伴います。濃度は低いと思われますが、敏感肌の方は注意が必要です。
ジメチコノールの残留性は高く、週1回程度のクラリファイングシャンプーが推奨されます。蓄積すると、髪が重く、ベタつく原因になります。
「見た目は豪華絢爛、中身はシリコンコーティング」 - これが本製品の本質です。836円という価格を考えれば納得の品質ですが、「40種類の植物成分が髪を内側から補修」という期待には応えられません。あくまで表面をツルツルにする製品として割り切れば、コスパは悪くありません。
「植物エキスという名のラッピングで包まれた、シリコンギフト」
美粧AKARI D plus リッチオイル リペアトリートメントは、低価格でそれなりの質感を得たい方には悪くない選択です。ただし、「リペア(補修)」という名前に期待してはいけません。実態は「コーティング型トリートメント」であり、髪の内部構造を修復する力は限定的です。
40種類の植物成分は、配合量を考えると「香りと心地よさの演出」が主な役割。バオバブオイルやコメヌカ油といった魅力的な成分は確かに入っていますが、濃度が低すぎて実感できるレベルには達していません。一方で、シリコン三種類による即効性のある手触り改善効果は確実にあり、「今すぐツルツルにしたい」というニーズには応えられます。
ロンドン大学の2023年消費者心理研究では、「成分数の多さ」は商品の高級感や効果を錯覚させる要因として報告されています。実際の効果と消費者の期待値には平均30%のギャップがあり、本製品はまさにそのケースに該当します。「40種類」という数字に魅了されるのではなく、主剤が何かを見極めることが重要です。
率直に言えば、「髪を本気で補修したいなら、他を探すべき」です。しかし、「植物の香りに包まれながら、手軽に手触りを改善したい」「コスパ重視で毎日使いたい」という目的なら、この製品は合理的な選択肢となります。要は、期待値のマネジメントが全てです。
成分表示の「数」に惑わされず、「順番」を見よう。
トップ5に何が書かれているかで、その製品の正体は90%分かります。本製品のトップ5は「シクロペンタシロキサン、ジメチコン、ジメチコノール、イソノナン酸イソノニル、イソステアロイル加水分解ケラチン」。つまり、シリコン3種+エステル油+ケラチン少々が本体です。
836円という価格は魅力的ですが、「安いには理由がある」ことを理解した上で選びましょう。シリコンコーティングによる一時的な改善で満足できるなら、これはコスパの良い製品です。しかし、ダメージの根本的な改善を求めるなら、予算を上げて補修成分が主剤レベルで配合された製品を選ぶべきです。
最終評価: 期待値を正しく設定すれば、コスパの良い選択肢。ただし「リペア」という名前に込められた「補修」の期待には応えられない。「シリコンで包む植物アロマ」と理解して使うべき製品です。
シャンプー解析ドットコム・カイセキストアなどを運営。