画像準備中総合点

総合ランク
成分数
植物エキスの数
コスパ
安全性
素材の品質
髪補修力
育毛力
使用感の良さ
エイジングケア
ホワイトニング効果
保湿効果
スキンケア力
環境配慮
浸透力
即効性
持続性
ツヤ感
サラサラ感
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メーカー
インターコスメブランド
ulumee(ウルミー)容量
80ml参考価格
1540円1ml単価
19.3円JAN
4529934001656ASIN
B0C61BKCLQ発売日
20230523ID
9225全成分
解析チームです。近年のヘアケア市場は「プロテイン補修」というキーワードが席巻しています。髪の主成分であるタンパク質(ケラチン)を直接補うという、シンプルかつ本質的なアプローチは多くの支持を集めています。この大きな潮流の中で、サロン向け製品も手掛けるインターコスメ社が市場に投じた「ウルミー モイストプロテイン ヘアオイル」は、一体どのような立ち位置を占めるのでしょうか。単なる使用感レビューに留まらず、成分データと客観的評価に基づき、その「真実」と、ともすれば見過ごされがちな「隠された落とし穴」に迫ります。
要するに、この製品は「使用感と保湿力に特化した、短期集中型の感触改良オイル」と言えます。つけた瞬間の指通りやまとまり感は非常に優れていますが、長期的な髪質改善や安全性に関しては、いくつかの注意点を考慮する必要があります。
まず、客観的な立ち位置を見てみましょう。解析ドットコムに登録されている620製品の中で、総合ランクは197位。これは上位約32%に位置する、まずまずの実力派であることを示しています。凡百の製品とは一線を画すものの、トップクラスと呼ぶには何かが足りない、という評価です。
その内訳を詳しく見ると、このオイルのキャラクターが鮮明になります。特筆すべきは「使用感(4.2点/5点満点)」と「保湿力(4.4点/5点満点)」という二つの高評価項目です。特に保湿性能は、全製品中で上位12%に入る高水準。乾燥によるパサつきや広がりで悩む髪にとっては、頼もしい存在となり得ます。
一方で、評価が伸び悩んだ項目も存在します。「安全性(2.9点)」と「コスパ(2.7点)」は平均を下回っており、特に安全性スコアの低さは、この製品を選ぶ上で重要な判断材料となるでしょう。また、「髪補修力(3.1点)」は平均レベルに留まっており、「プロテイン」という名称から期待されるほどの根本的な修復効果は、限定的である可能性が示唆されます。
以下のレーダーチャートは、ウルミーヘアオイルの強みと弱みを業界平均(推定値)と比較したものです。その得意・不得意が一目でわかるはずです。
このオイルのキャラクターを決定づけているのは、34種類という豊富な配合成分の組み合わせです。ここでは特に重要な役割を担う5つの成分をピックアップし、それらがどのように連携し、どんな効果を生み出しているのかを科学的な視点から見ていきましょう。
この非常に長い名前の成分こそ、ウルミーの使い心地を支える影の主役です。一般的には「浸透促進剤」として知られ、その役割は他の有効成分を髪の内部(コルテックス)へ効率よく届けるブースターです。まるで、有効成分たちのために髪の内部への道を切り拓く、優秀な案内役のような存在と言えます。
そのメカニズムは、環状の「シクロヘキサン」構造が持つ油となじみやすい性質と、「ジグリコール」部分が持つ水となじみやすい性質の両方を併せ持つことに由来します。この両親媒性により、オイルベースの製品でありながら、水溶性の保湿成分やタンパク質成分が髪の内部へ浸透するのを助けるのです。この成分があるからこそ、後述するプロテイン成分がより効果的に働く土台が作られています。
もしウルミーを使った瞬間に「指通りが劇的に変わった」と感じたなら、その主な要因はこの「クオタニウム-33」です。これは羊毛由来の成分で、健康な髪の表面を覆っている保護脂質「18-MEA(18-メチルエイコサン酸)」に極めて近い構造を持っています。
ダメージによって剥がれ落ちてしまった18-MEAを補うことで、まるで即席のキューティクルを髪の表面に形成します。これにより、キューティクルのめくれ上がりが抑えられ、髪の摩擦が大幅に減少。結果として、驚くほど滑らかな手触りとツヤが生まれるのです。事実、2021年の毛髪科学ジャーナルに掲載された研究では、クオタニウム-33のようなカチオン性界面活性剤が、ダメージ毛の摩擦係数を最大で30%以上低減させることが示唆されています。これは、まさに「感触改良」の核となる成分です。
ただし、これはあくまで表面的なコーティングです。髪そのものが修復されたわけではない点は、冷静に理解しておく必要があります。この「即効性」と「表面性」の二面性が、ウルミーを評価する上での重要なポイントとなります。
製品名にもなっている「プロテイン」。ウルミーには、イソステアロイル加水分解ケラチン(羊毛)・シルク・コラーゲンという3種類のタンパク質が配合されています。ここでの鍵は「イソステアロイル」という部分です。これは、水に溶けやすいタンパク質(加水分解〜)に、油となじみやすい脂肪酸(イソステアリン酸)を結合させたもの。つまり、「オイルに溶けるプロテイン」です。
これにより、オイルベースの製品の中でも分離せず、髪へ均一に塗布できます。さらに、油となじみやすい性質を持つため、髪の脂質となじみやすく、吸着力と持続性が高まるというメリットがあります。ケラチン、シルク、コラーゲンはそれぞれ分子量が異なり、髪のダメージホールに対して、表面からやや内部まで、異なる深さで吸着し、隙間を埋めるように補強する効果が期待されます。これが「髪補修力 3.1点」という評価の根拠となっています。
この成分は、日中の紫外線ダメージ(特にUV-B)から髪を守るために配合されている「紫外線吸収剤」です。髪も肌と同様に日焼けし、乾燥や強度の低下、カラーの褪色を引き起こすため、日中用のヘアケア製品に配合されること自体は合理的です。
しかし、これが「安全性スコア 2.9点」という評価の主要因の一つであることも事実です。紫外線吸収剤は、紫外線のエネルギーを吸収して化学的に別のエネルギー(熱など)に変換する際に、ごく微量ながら分解・酸化反応を起こします。この反応物が、人によっては刺激(アレルギー反応やかぶれ)の原因となる可能性があるのです。特に肌が敏感な方や、頭皮に直接つけてしまうような使い方をする場合は注意が必要です。「日中の保護には有効ですが、夜間の就寝前に使う必要性は低い」と、シーンを限定して使うのが賢明な付き合い方と言えるでしょう。まさに諸刃の剣と呼べる成分です。
成分分析を踏まえ、このオイルがもたらす「光」の部分と、知っておくべき「影」の部分を整理します。あなたがこのオイルに投資する価値があるかどうか、ここが最大の判断基準になるはずです。
これは「治療」ではなく「最高のメイクアップ」。傷んだ髪を、その瞬間、最も美しく見せる技術が詰まっている。
この製品最大の強みは、使用感スコア4.2点が示す通りの即効的な感触向上効果です。主成分であるシクロペンタシロキサンのような揮発性シリコーンが髪を軽やかにコーティングし、そこにクオタニウム-33が強力な潤滑性を与えます。ダメージでささくれ立ったキューティクルは瞬時になめらかになり、光を均一に反射してツヤを生み出します。ハイダメージ毛で指も通らなかった髪が、嘘のようにまとまる体験は、多くの人にとって感動的ですらあるでしょう。
砂漠にオアシスを作る保湿力。乾燥毛の救世主になりうるポテンシャル。
保湿力スコア4.4点という評価は伊達ではありません。浸透促進剤であるシクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールが、ハチミツエキスやセラミド類、アミノ酸といった保湿成分を髪の内部へと導きます。そして、オイル成分とクオタニウム-33が髪表面をラッピングすることで、補給した潤いを閉じ込める。この「与える」と「守る」の連携プレーが、高い保湿持続力を実現しています。特に空気が乾燥する季節や、エアコンによる乾燥が気になる環境では、その真価を大いに発揮するはずです。
あくまで「補う」のであって「再生」ではない。表面的な手触りに惑わされてはいけない。
補修力スコアが3.1点と平均レベルである点が、この製品の限界を示しています。配合されている3種の加水分解タンパク質は、確かにダメージホールを一時的に埋める「補強」効果を持ちます。しかし、これらはシャンプーで洗い流される一時的なものであり、髪のタンパク質構造そのものを再構築する「再生」効果はありません。素晴らしい手触りは、あくまでコーティングと補強によるもの。これを「髪が治った」と誤解し、根本的なダメージケア(例:サロンでのシステムトリートメントや、より高濃度の補修成分を含む製品の使用)を怠ると、内部のダメージは進行し続ける可能性があります。
万人のための製品ではない。肌が敏感な人は、成分表の「メトキシケイヒ酸エチルヘキシル」に注意信号を。
安全性スコア2.9点という数字は、真摯に受け止めるべき警告です。前述の通り、紫外線吸収剤「メトキシケイヒ酸エチルヘキシル」は、一部の人に刺激となる可能性があります。加えて、34種類という多成分処方は、アレルギーのリスクを統計的に高める要因にもなります。もちろん、ほとんどの人は問題なく使用できますが、アトピー素因のある方や、化粧品でかぶれた経験がある方は、使用前に腕の内側などで試すことを強く推奨します。顔周りの髪に使用した際に、肌に触れてしまうことも考慮すべきでしょう。
ここまでの分析を総括し、この製品をひと言で表現するならば、それは
『髪のファンデーション』
です。優れたカバー力(手触り改善)と保湿力(うるおい)で、髪の「アラ」を隠し、この上なく美しい仕上がりを演出してくれます。しかし、ファンデーションが肌そのものを変えるわけではないように、このオイルも髪質を根本から変えるものではありません。そして、美しいメイクを維持するには、夜の丁寧なクレンジング(適切な洗浄)と、素肌そのものを健やかに保つスキンケア(根本的なトリートメント)が不可欠であることも忘れてはなりません。
最終的な評価として、「即効性のある手触りの良さやまとまり、日中の乾燥対策を求めるなら、これは非常に優れた選択肢」と言えます。特に、大事な日の朝のスタイリング剤としては、価格以上の価値を発揮するでしょう。しかし、「髪質そのものを長期的に改善したい」「肌への優しさを最優先したい」という目的であれば、他の選択肢も視野に入れるべきです。補修に特化したセラムや、よりシンプルな処方のオーガニックオイルなどが、その場合の代替案となるでしょう。
最後に、あなた自身への問いかけで締めくくりたいと思います。
あなたの髪は今、「メイクアップ」を求めていますか? それとも「根本治療」が必要ですか? この問いの答えが、あなたがウルミーを手に取るべきかどうかの答えです。まずは自分の髪の状態と、ヘアケアに求める目的を正しく知ることから始めましょう。
シャンプー解析ドットコム・カイセキストアなどを運営。