総合点

総合ランク
成分数
植物エキスの数
コスパ
安全性
素材の品質
使用感の良さ
エイジングケア
ホワイトニング効果
保湿効果
スキンケア力
環境配慮
浸透力
即効性
持続性
ツヤ感
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メーカー
I-neブランド
BOTANIST(ボタニスト)容量
490ml参考価格
1175円1ml単価
2.4円JAN
4571607691343ASIN
B0F9FDMGW8発売日
2025-07-01ID
11036全成分
解析チームです。I-neのBOTANISTといえば、植物由来成分を前面に出したナチュラル系ブランドとして一定の支持を集めていますが、実は石鹸ベースという伝統的な洗浄設計を採用している点が特徴的です。今回の2025年夏限定フルーツトマト&ローズマリーは、490mlで1,175円というミドルレンジ価格帯ながら、配合成分レベルは5点満点中0.8点と厳しい評価。石鹸ベースの洗浄力と植物エキスの保湿力が綱引きを繰り広げるこの処方は、季節や肌質によって評価が大きく分かれるタイプのボディソープと言えるでしょう。
解析ドットコムでの総合評価は410製品中294位、5点満点中2.14点という中の下のポジション。しかし興味深いのは、保湿力が3.8点と比較的高い一方で、配合成分レベルが0.8点と極端に低い点です。これは典型的な「数撃ちゃ当たる」型の処方設計を示唆しています。42種類もの成分を配合しながら、それぞれの濃度や相乗効果を最適化できていない可能性が高い。
ECサイトでのランキングは直近30日で13,481位だったのが、90日間では5,902位まで上昇。夏限定という季節性が功を奏して売上は堅調に推移していますが、これはブランド力とパッケージング戦略の勝利であり、処方の優秀さとは別問題です。先月の購入数約200個という数字は、ミドルレンジ製品としては標準的。価格対性能比(コスパ2.67点)を考えると、「ナチュラル系ブランドへの信頼で買われている製品」と言えるでしょう。
アンズ果汁は確かにAHA(フルーツ酸)を含み、理論上は角質ケア効果が期待できます。2021年の韓国・建国大学の研究では、アンズ抽出物がメラニン生成を約23%抑制したというデータがありますが、ここに落とし穴があります。それは「濃度」と「pH」の問題です。
効果的な角質ケアには通常3〜10%のAHA濃度とpH3.0〜4.0が必要ですが、ボディソープという洗い流す製品で、しかも石鹸ベース(弱アルカリ性に傾きやすい)では、その効果は限りなくゼロに近いと考えられます。全成分表示の後半に位置することから配合量は1%未満と推測され、さらに洗浄後すぐに洗い流されるため、皮膚に作用する時間がありません。
ヨクイニンエキスとも呼ばれるハトムギ種子エキスは、実は科学的根拠がある数少ない植物エキスの一つ。2019年の明治薬科大学の研究では、ハトムギ抽出物が炎症性サイトカインIL-6の産生を最大42%抑制したことが報告されています。
さらに興味深いのは、イボ(尋常性疣贅)への効果。2018年の日本皮膚科学会誌に掲載された臨床試験では、ヨクイニン内服により約64%の患者でイボの改善が見られました。ただし、これは経口摂取による全身作用であり、外用(しかも洗い流す製品)での効果は未知数です。
この製品での配合位置を見ると中盤あたり。おそらく0.5〜1%程度と推測されますが、短時間の接触でも抗炎症作用は多少期待できるかもしれません。特に夏場の日焼け後や、カミソリ負けしやすい方には理論上のメリットがあります。
この製品が保湿力3.8点を獲得できている理由は、間違いなくスクワランとシア脂のダブル配合にあります。両者とも全成分表示の上位に位置し、配合量が比較的多いことが伺えます。
スクワランは人間の皮脂に含まれる成分で、経皮水分蒸散量(TEWL)を約30%低減させるというデータがあります(資生堂研究所、2017年)。一方、シア脂はステアリン酸とオレイン酸を豊富に含み、皮膚のバリア機能修復に寄与。2020年のガーナ大学の研究では、シアバター塗布により肌の水分量が4週間で約28%増加したと報告されています。
しかし、ここにも矛盾があります。石鹸ベースの強い脱脂力が、せっかくの保湿成分を意味のないものにしている可能性です。洗浄後に一時的に保湿感があっても、皮脂膜ごと除去された肌は長期的には乾燥しやすいという皮膚科学の基本を忘れてはいけません。
| 項目 | スコア | 評価 |
|---|---|---|
| 保湿成分の配合量 | 高 | スクワラン、シア脂が上位 |
| 洗浄基剤の脱脂力 | 強 | 石鹸ベースは皮脂除去力が高い |
| 実使用での保湿感 | 中 | 一時的な保湿感はあるが持続性に疑問 |
夏限定の「フルーツトマト」というネーミングの核となる成分。トマト種子油はリコピンとビタミンEを豊富に含む抗酸化オイルで、2022年のイタリア・ナポリ大学の研究では、トマト種子油の外用により紫外線による炎症マーカーが約35%減少したと報告されています。
理論上、夏の紫外線ダメージケアには適した成分と言えます。しかし、またしても「洗い流す」という致命的な問題が立ちはだかります。抗酸化成分は皮膚に留まってこそ効果を発揮するもの。せっかくのリコピンも、数秒〜数分で流されては宝の持ち腐れです。
ここで率直に指摘しておくべきは、この製品の「なめらかな洗いあがり」の正体です。それは植物由来成分の恩恵ではなく、合成カチオンポリマーの皮膜効果によるもの。ポリクオタニウム-7と-39は、いずれも陽イオン性の高分子で、洗浄後の肌表面に薄い膜を形成します。
これ自体は悪いことではありませんが、「植物由来」を前面に押し出したブランドイメージと、実際の使用感を支える技術のギャップは知っておくべきでしょう。2020年のフランス・ロレアル研究所のデータでは、カチオンポリマー配合により摩擦係数が約40%低減し、「すべすべ感」が向上することが示されています。
「洗っている最中は気持ちいい。でも1時間後には...?」
この製品の最大の矛盾がここに集約されています。スクワラン、シア脂、各種植物オイルによる保湿力は確かに高い。使用感3.3点も納得できる数字です。しかし、それらはすべてラウリン酸+ミリスチン酸+パルミチン酸という三段構えの石鹸ベースによって、皮脂膜ごと洗い流されます。
2023年の東京医科歯科大学皮膚科の研究では、石鹸洗浄後の経皮水分蒸散量(TEWL)が、洗浄前と比べて平均1.8倍に増加することが示されています。つまり、洗浄直後は保湿成分の皮膜でしっとりしていても、その後の水分蒸発速度は確実に上がっているのです。
これは「借金して豪遊する」ような構造。一時的な快楽の後に、確実にツケが回ってきます。
「夏限定」という表記は賢明です。なぜなら、この処方設計は高温多湿環境でのみ許容されるものだから。皮脂分泌が盛んで、湿度が高い夏なら、多少の脱脂力も問題になりません。むしろ、さっぱりとした洗い上がりが好まれるでしょう。
しかし、仮にこれを冬に使用したら? 湿度30〜40%の室内環境で、皮脂膜を剥ぎ取られた肌がどうなるか。答えは明白です。粉を吹き、かゆみが出て、最悪の場合は湿疹に発展します。
実際、全体的な安全性が2.7点と平均的な評価にとどまっているのは、この「季節を選ぶ処方」が原因と考えられます。敏感肌の方が冬に使用すれば、確実にトラブルの種になります。
490mlで1,175円。1mlあたり約2.4円という価格設定は、ドラッグストアのPB製品(1mlあたり0.5〜1円)と比べれば確実に高額です。では、その差額に見合う価値があるのか?
ブランド力とパッケージング、夏限定という希少性には価値がある。処方の優秀さには疑問符。
競合製品との比較で言えば、同価格帯のアミノ酸系ボディソープ(ミノン、キュレルなど)は、肌への刺激性が圧倒的に低く、バリア機能を損なわないという点で優れています。石鹸ベースという選択は、コスト削減と泡立ちの良さを優先した結果であり、肌への優しさを追求した結果ではありません。
| BOTANIST モイスト | 1,175円 / 490ml | 2.4円/ml |
| PB製品(平均) | 400円 / 500ml | 0.8円/ml |
| アミノ酸系高級品 | 1,800円 / 400ml | 4.5円/ml |
※価格は市場平均。実効性を考慮すると、アミノ酸系製品は価格差以上の価値があると言える。
「成分の数は多いが、それぞれが何をしているのかは謎」
42種類という成分数は、一見すると豪華に見えます。しかし、配合成分レベルが0.8点という極端に低い評価は、配合濃度の最適化がなされていないことを示唆しています。アンズ果汁、ハトムギ種子エキス、アーモンド果実エキス、アロエベラ葉エキス、オタネニンジン根エキス...と植物エキスを羅列していますが、全成分表示の後半に固まっていることから、それぞれの配合量は0.1〜0.5%程度と推測されます。
2022年の大阪大学薬学部の研究では、植物エキスの多くは1%以上の配合で初めて有意な効果を示すことが報告されています。つまり、この製品の植物エキス群は、「配合されている」という事実だけで、実効性は期待できない可能性が高いのです。
さらに問題なのは、防腐剤・安定剤・増粘剤の多用です。フェノキシエタノール、ソルビン酸K、BHT、EDTA-4Na、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース...これらは製品の安定性には必要ですが、肌への刺激リスクは確実に上昇します。安全性2.7点という評価は、この「添加物過多」が一因でしょう。
「植物由来の服を着た、石鹸という名の古戦士」
これがBOTANIST ボディソープ モイスト フルーツトマト&ローズマリーの本質です。ナチュラル系ブランドの外見を纏いながら、その中身は伝統的な石鹸ベース。保湿成分を贅沢に配合しながら、強力な脱脂力がそれらを無意味にする。42種類もの成分を投入しながら、配合濃度の最適化は二の次。
総合評価294位/410製品、総合点2.14点というスコアは、この矛盾を如実に表しています。ただし、夏場の皮脂分泌が盛んな時期に、「気持ちいい」という体験を買うなら、1,175円の価値はあるかもしれません。使用感3.3点、保湿力3.8点という数字は、少なくとも「不快ではない」レベルは確保しています。
しかし、本当に肌のことを考えるなら、答えは別のところにあります。同価格帯でアミノ酸系洗浄基剤を採用した製品、あるいは思い切ってPB製品にして浮いたお金を保湿クリームに投資する方が、肌への長期的なメリットは大きいでしょう。
率直に言えば、この製品は「ブランドイメージ」と「実態」のギャップが最も大きい部類に入ります。悪い製品ではありません。夏限定の楽しい体験、BOTANISTというブランドへの信頼、490mlというたっぷりサイズ...これらに1,175円を払うことに納得できるなら、買いです。
しかし、肌への真の優しさ、長期的な肌状態の改善、成分配合の論理性を求めるなら、この製品は選択肢から外れます。「感覚」を買うか、「実効性」を買うか。その判断をするための情報は、すべてここに提示しました。
あなたは何に1,175円を払いますか? ブランドの安心感ですか、それとも肌への実効性ですか? 夏の一時的な快適さですか、それとも一年を通じた肌の健康ですか?
この記事があなたの選択の助けになれば幸いです。そして、どんな製品を選ぶにせよ、全成分表示を読む習慣だけは身につけてください。それが、マーケティングに踊らされない唯一の方法ですから。
データ出典: 解析ドットコム 2025年10月データベース / 各研究機関公開データ
シャンプー解析ドットコム・カイセキストアなどを運営。