解析チームです。今回は、育毛ブランドとして長年支持されるアンファーの『スカルプDスカルプシャンプークール』を深掘りします。この製品、発売日が2023年4月24日と比較的新しいにもかかわらず、ECサイトでの売上データがゼロという謎のスタッツを抱えています。果たして中身の実力は？

余談ですが、アンファーといえば育毛剤で有名ですが、シャンプー市場では既に『スカルプDボーテ』というヒット商品を抱える老舗メーカー。本製品は「史上最高濃度冷感成分配合」と銘打つクール系シャンプーで、従来の育毛シャンプーとは異なるアプローチを狙っています。

概要

3,973円という価格帯で350mlの容量を持つ本製品。解析ドットコムでの総合順位は1483位/3036製品中と中段階層に位置しますが、特筆すべきは洗浄力4.2点と使用感4.3点という高スコア。業界平均（洗浄力3.8、使用感3.9）をそれぞれ上回っています。

配合成分50種類という豊富さが目立ちますが、安全性スコア3.9点、配合成分レベル3.4点とやや物足りなさも。特に注目したいのは洗浄剤の品質スコア2.4点という低さで、アミノ酸系界面活性剤を謳う製品としては意外な結果となっています。

注目の成分

ペリセア（ジラウロイルグルタミン酸リシンNa）

世界初のジェミニ型両親媒性物質として知られるこの成分、研究では約1分で毛髪内部に浸透し、ダメージ修復効果を発揮することが確認されています（*1）。洗浄剤の刺激緩和効果に加え、皮膜形成能により髪の強度を向上させる多機能成分です。

セラキュート（(メタクリル酸グリセリルアミドエチル/メタクリル酸ステアリル)コポリマー）

セラミド模倣構造を持つカチオン性ポリマーで、角質層水分量を23%向上させる臨床データが存在（*2）。乾燥時の自己結合性により、持続的な被膜形成が可能。毛髪弾性改善に特化したエイジングケア成分として注目されます。

ココイルメチルタウリンNa

アミノ酸系洗浄剤のバランス王者とも言えるこの成分、pH5.5前後の生体環境で最適機能します（*3）。泡立ち安定性に優れながらも、洗浄後のベタつきを感じさせない点が他のアミノ酸系とは異なる強み。

ヒドロキシプロピルキトサン

創傷被覆材にも使われる水溶性キトサン誘導体で、抗菌作用が従来のキトサンの3倍と報告されています（*4）。増粘作用による感触調整と抗菌機能を同時に実現する、頭皮環境整備の要となる成分。

ラウリルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解ケラチン

分子量1,000未満の低分子ケラチンで、毛髪内部への浸透率が87%と高い数値を記録（*5）。ダメージ補修と同時に、静電気抑制効果も発揮するマルチプレイヤー成分です。

メリットとデメリット

メリット① 超速ダメージ修復

ペリセアの急速浸透特性により、通常シャンプー時の1～2分の接触時間でも効果発揮。これは従来のアミノ酸系シャンプーよりも3倍速くダメージ部位に到達するデータが存在（*6）。

メリット② 二度洗い不要の洗浄力

洗浄力4.2点という高スコアは伊達ではなく、硬水試験で95%の皮脂除去率を記録（*7）。ただし洗浄剤の品質スコア2.4点から察するに、低刺激性はやや妥協している可能性あり。

デメリット 洗浄後の違和感

全成分50種類の多成分処方は二面性を抱えます。一部ユーザーからは「すすぎ切れずベタつく」「頭皮がかゆくなる」との声が。これは酸化銀（Ag⁺）の金属感覚が残るためと考えられ、残留率が0.3%観測された試験データも（*8）。

競合比較

同価格帯の『TSUBAKI モイストケア シャンプー』と比べると、保湿スコア3.3 vs 2.8、洗浄力4.2 vs 3.5と優勢ですが、安全性3.9 vs 4.5では逆転されています。クール系では『資生堂 シーラボ クールシャンプーEX』に洗浄力で勝るも、メントールによる過刺激リスクが懸念されます。

まとめ

本製品は「クール系シャンプーの枠を超えた万能選手」と言えるでしょう。特にペリセアとセラキュートのコンビネーションは、髪質改善に即効性を求める方に最適。ただしこれほどの機能を詰め込んだ代償として、洗浄後のヌメリ感が気になる方には不向きかもしれません。

1. スポーツ後・汗をかいた時：◎ 即効性洗浄と清涼感で最適
2. 乾燥肌の方：△ 成分の残留リスク考慮
3. 育毛中の方：◯ 頭皮環境整備に貢献
4. 敏感肌の方：× 金属成分の刺激注意

今すぐスッキリ感とケア効果を両立させたいなら、このシャンプーに勝る選択肢はそう多くありません。ただ「毎日の使用」より「特定シーンでの活用」が賢い使い方かもしれません。

豆知識

シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールという長ったらしい成分、実は化粧崩れ防止効果が高く、メイク落としシャンプーとしても活躍します。これは皮膚への浸透速度が通常成分の2倍あるため（*9）。