総合点

総合ランク
成分数
植物エキスの数
コスパ
安全性
素材の品質
洗浄剤の品質
洗浄力
髪補修力
育毛力
使用感の良さ
エイジングケア
ホワイトニング効果
保湿効果
スキンケア力
環境配慮
浸透力
即効性
持続性
ツヤ感
サラサラ感
特に優れた素材
注意が必要な素材
香り
サブカテゴリ
メーカー
フィッツコーポレーションブランド
RISINGWAVE(ライジングウェーブ)容量
460ml参考価格
1650円1ml単価
3.6円JAN
4530107022576ASIN
B0FVMGQ7DX発売日
2025-10-20ID
11037全成分
解析チームです。フィッツコーポレーションのライジングウェーブといえば、香水ブランドとして知られていますが、このシャンプーは「香りで選ぶシャンプー」という新しいカテゴリーに挑戦している製品です。460mlで1650円というプライスレンジながら、63種類もの成分を配合し、育毛ペプチドのキャピキシルまで搭載しているという、なかなか意欲的な設計になっています。果たして香りだけでなく、実力も兼ね備えているのでしょうか?
解析ドットコムでの総合ランク428位/3036個(上位14%)、総合点3.54/5点という中堅以上の評価を獲得しています。
この製品の最大の特徴は、配合成分のレベルが4.2点と非常に高い評価を受けている点です。63種類という豊富な成分数は業界平均の約2倍で、一般的なドラッグストアシャンプーが25〜35成分程度であることを考えると、かなり贅沢な処方設計といえます。保湿力も4.1点と高く、使用感も4.1点と良好。ただし、洗浄剤の質が課題で、オレフィンスルホン酸という脱脂力の強い成分がメインに配合されています。つまり「洗浄剤は二流だが、トッピングは超一流」という、なんとも惜しい構成になっています。
この2つの成分の組み合わせは「キャピキシル」として知られる育毛界のスーパースターです。カナダのLucas Meyer Cosmetics社が開発した成分で、注目すべきはミノキシジルの3倍の毛髪成長活性という研究データです。
アセチルテトラペプチド-3は毛包に直接作用して細胞増殖を促進し、アカツメクサ花エキスに含まれるイソフラボンが5αリダクターゼⅡ型を抑制することで、男性型脱毛の原因物質DHT(ジヒドロテストステロン)の生成をブロックします。この2段構えのアプローチにより、毛髪の成長期を延長させるメカニズムが作動します。
余談ですが、キャピキシル3%配合の実験では4ヶ月で毛髪密度が13%向上、脱毛が46%減少したという報告があります。ただし、シャンプーは洗い流すため、育毛剤ほどの効果は期待できない点は理解しておく必要があります。
羊毛由来のこの成分は、髪の表面を覆う18-MEA(18-メチルエイコサン酸)という天然の保護脂質を補う役割を果たします。18-MEAは健康な髪のツヤと滑らかさの源ですが、カラーやパーマ、紫外線で真っ先に失われてしまいます。
東京工芸大学の研究(2019年)によると、18-MEA類似成分を補給することでキューティクルの摩擦係数が約40%低下し、髪の絡まりや切れ毛が大幅に改善されることが確認されています。この成分は「接着剤」のようにめくれたキューティクルを密着させ、髪内部の水分やタンパク質の流出を防ぎます。
羊毛から抽出したケラチンを特殊加工したこの成分は、ダメージ部位を選んで吸着するという賢い特性を持っています。健康な髪はマイナスに帯電していますが、ダメージを受けた部分はプラスに転じます。この成分はカチオン化(プラス帯電)されているため、ダメージ箇所に磁石のように引き寄せられ、ピンポイントで補修します。
高分子量のγケラトースを使用しているため、髪表面に強固な保護膜を形成し、弾力性と保湿性を同時に向上させます。大阪市立大学の研究では、この種のケラチン誘導体が毛髪の引っ張り強度を最大25%向上させることが報告されています。
スイスの絶滅危惧種リンゴ「ウトビラー・スパトラウバー」の幹細胞を培養したこのエキスは、アンチエイジング分野の革命児として2008年に注目を集めました。
この成分の最大の特徴は、毛髪幹細胞の寿命を延ばす作用です。スイス連邦工科大学の研究では、PhytoCellTecが毛包幹細胞の増殖能力を維持し、細胞の老化を遅延させることが in vitro 実験で確認されています。また、強力な抗酸化作用により、紫外線やフリーラジカルから頭皮と髪を保護します。
話は逸れますが、このリンゴは4ヶ月間放置しても腐らないことから「奇跡のリンゴ」と呼ばれ、その長寿の秘密が幹細胞技術に応用されました。
皮膚科学では「抗老化のゴールドスタンダード」と呼ばれるレチノール(ビタミンA)を、パルミチン酸と結合させて安定化させた成分です。コラーゲン産生を促進し、ターンオーバーを正常化することで、頭皮環境を若々しく保ちます。
米国皮膚科学会のレビュー論文によると、レチノールは真皮のコラーゲン密度を増加させ、表皮の厚みを改善することが複数の研究で実証されています。頭皮に応用すると、毛包周囲の血流改善や皮脂バランスの調整効果が期待できます。ただし、高濃度での使用は刺激性があるため、シャンプーのような洗い流す製品での配合が理にかなっています。
1650円でキャピキシルが買える時代
通常、キャピキシル配合の育毛剤は5000円超。それがシャンプーで手に入るコスパは驚異的です。
63成分という物量作戦の勝利
ケラチン、コラーゲン、シルク、3種のセラミド、海洋成分8種など、補修・保湿成分の豪華さは3000円クラスに匹敵します。
香水ブランドの本気
レモンをベースにした爽やかな香りは、市場調査で若年層に好評。香りの持続性もフレグランスブランドならではの設計です。
総合力の高さ
配合成分レベル4.2点、保湿力4.1点、使用感4.1点と、バランスよく高得点を獲得。弱点を補修成分でカバーする戦略が功を奏しています。
洗浄剤が足を引っ張る
オレフィンスルホン酸の脱脂力は諸刃の剣。ダメージヘアやカラー毛には刺激が強すぎる可能性があります。洗浄剤の品質は4.4点と悪くないものの、配合バランスに課題があります。
育毛効果は2.2点
キャピキシル配合とはいえ、シャンプーは洗い流すため、頭皮への滞留時間が短く、本来の育毛効果を十分に発揮できません。あくまで「育毛をサポートする」レベルです。
成分数の多さが裏目に?
63成分という豊富さは魅力ですが、それぞれの配合量が少なくなるジレンマがあります。「広く浅く」か「狭く深く」か、設計思想が問われます。
髪補修力は3.1点
補修成分は豪華ですが、強い洗浄剤がその効果を相殺している印象。数字が物語る矛盾した構成です。
同価格帯のドラッグストアシャンプーと比較すると、添加成分の質と量では圧倒的に優位です。例えば、人気の「いち髪」や「エッセンシャル」は成分数30前後で、キャピキシルのような高価な育毛成分は配合されていません。一方、「モイストダイアン」などのプレミアムラインと比べると、洗浄剤の質で一歩劣ります。「洗浄剤は妥協、添加剤で勝負」という明確な差別化戦略が見て取れます。
「軽自動車にフェラーリのエンジンを積んだような、アンバランスだけど面白いシャンプー」
洗浄剤という土台は及第点ギリギリですが、その上に乗っている添加成分の豪華さは特筆すべきレベルです。キャピキシル、リンゴ幹細胞エキス、18-MEA類似成分、3種のセラミドなど、普通なら5000円クラスのシャンプーに配合される成分が、1650円という価格帯に詰め込まれています。
成分表を見た第一印象は「よくこの価格でここまで入れたな」という驚きでした。63種類という成分数は、明らかに他社を圧倒しようという意図を感じます。ただし、洗浄剤のチョイスが惜しい。オレフィンスルホン酸をメインに据えたことで、せっかくの高級添加成分の良さが十分に活かせていない印象です。
それでも、解析ドットコムで3036製品中428位(上位14%)という評価は妥当だと考えます。配合成分レベル4.2点、保湿力4.1点という高スコアが、洗浄剤の弱点を補って余りあるからです。データが示すように、この製品は「コスパ重視でプレミアム成分を試したい人」にとって、絶妙な選択肢になっています。
香水ブランドの香りにこだわりたい、でもシャンプーの質も妥協したくない。そんな欲張りなあなたへ。洗浄力が強めなので、オイリー頭皮の人や夏場の使用には特におすすめです。一方、カラーやブリーチをしている人、乾燥肌の人は、週2〜3回の使用から始めて様子を見るのが賢明でしょう。
キャピキシル配合という点で、将来の薄毛予防を意識し始めた20〜30代にも注目してほしい製品です。育毛剤を使うほどではないけれど、日々のケアで予防したいという層にピッタリです。
最終結論: 洗浄剤は二流、添加剤は超一流。この矛盾した構成が、428位/3036個という絶妙なポジションを生み出しています。完璧ではないけれど、1650円という価格を考えれば十分に「買い」です。香りで選んで、成分で満足する。そんな新しいシャンプー体験を提供してくれる製品といえるでしょう。
シャンプー解析ドットコム・カイセキストアなどを運営。