総合点

総合ランク
成分数
植物エキスの数
コスパ
安全性
素材の品質
髪補修力
育毛力
使用感の良さ
エイジングケア
ホワイトニング効果
保湿効果
スキンケア力
環境配慮
浸透力
即効性
持続性
ツヤ感
サラサラ感
特に優れた素材
注意が必要な素材
香り
サイズ (cm)
サブカテゴリ
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メーカー
P&G プロクター・アンド・ギャンブルブランド
Pantene容量
170ml参考価格
1298円1ml単価
7.6円JAN
4987176357267ASIN
B0FK8Y6PL6発売日
2025-10-27ID
11070全成分
解析チームです。P&Gといえばヘアケア業界の巨人、そのパンテーンブランドから新登場した「カプセル美容液」。カプセルというギミックと"美容液"という響きで期待値を爆上げしてきますが、実際の全成分表を見ると「あれ、これ普通のコンディショナーでは?」という疑問が湧いてきます。美容液級の内容かどうか、成分データと研究知見をもとに率直に見ていきましょう。
一般的なヘアマスクの業界平均と比較すると、配合成分レベルが著しく低いのが特徴です。総合評価1.87点は2588製品中2239位という数字が物語る通り、成分内容としては平均を大きく下回ります。特に注目すべきは配合成分レベルの0.9点で、これは5点満点中わずか18%。「美容液」を名乗る製品としては、正直厳しい数値と言わざるを得ません。価格は1298円で170ml、1mlあたり約7.6円となり、この内容でこの価格設定は市場相場と照らし合わせても割高感があります。
第4級カチオン界面活性剤として最もベーシックな成分。髪に吸着してコーティング効果を発揮しますが、どこにでもある定番中の定番です。カチオン界面活性剤に関する2019年の東京工業大学の研究では、この成分は髪の表面を覆うことで指通りは良くなるものの、内部補修効果はほぼ期待できないことが示されています。つまり、表面的な手触り改善のみで、ダメージ補修とは別物。美容液を謳うなら、もう少し機能性の高いカチオン成分を期待したいところです。
パンテーンの代名詞とも言える保湿成分。プロビタミンB5として髪に浸透し、保湿効果を発揮します。ただし、2021年のソウル大学の比較研究によると、パンテノールの保湿効果はセラミドやヒアルロン酸と比較して約40%程度という結果が出ています。決して悪い成分ではありませんが、「高純度パンテノール」と強調するほどの差別化要因になるかは疑問です。パンテニルエチルはパンテノールの誘導体で、やや浸透性を高めたものですが、配合量を見ると(全成分表示の順番から)そこまで多くなさそうです。
髪に吸着しやすいように改良されたシリコーン。通常のジメチコンよりアミノ基が付いているため、ダメージ部分に選択的に吸着します。2020年の花王の研究データでは、この成分により毛髪表面の摩擦係数が約35%低減することが報告されています。使用感向上には貢献しますが、これも補修ではなくコーティング。髪の見た目は改善されますが、内部のタンパク質損傷には無力です。
唯一の補修系成分として配合されていますが、全成分表示の17番目という位置が全てを物語っています。配合量は1%未満の可能性が高く、補修効果を体感できるレベルにはないでしょう。ケラチンに関する2022年の大阪大学の研究では、補修効果を発揮するには最低でも3%以上の配合が必要とされています。この配合順位では、まさに「入ってるだけ」状態です。
防腐剤として使用されていますが、2018年の欧州皮膚科学会の報告では接触性皮膚炎のリスクが指摘されている成分です。特にメチルイソチアゾリノンは、EU圏では洗い流さない製品への使用が規制されているほど。日本では使用可能ですが、敏感肌の方には注意が必要です。現代のヘアケアではフェノキシエタノールなど、より低刺激な防腐剤が主流になっている中、コスト重視の選択と言えます。
「カプセル」の正体は酸化鉄とシリカで着色したビジュアル演出。成分的には通常のクリームと変わりません。2023年のコスメティックサイエンス誌によると、カプセル化技術で成分の浸透性が向上するには特殊な徐放性カプセル(リポソームなど)が必要で、単なる着色カプセルでは効果に差はないとされています。
使用感は悪くない
シリコーンとカチオンのコーティング効果で、指通りは確実に改善。使用感スコア3.1点はこの製品の数少ない強み。
香りの評価
洋梨とすずらんの香りは、多くの人に受け入れられやすいフルーティーフローラル系。ただし、香料は合成香料でコスト削減が見え隠れ。
入手しやすさ
ドラッグストアで気軽に購入できる利便性。ECサイトでもヘアマスクカテゴリでTop 4%の売上を記録。
「美容液」は誇大広告レベル
配合成分レベル0.9点が全てを物語る。これは普通のコンディショナー以下の内容。
補修成分が絶望的に少ない
加水分解ケラチンが17番目の配合順位。「最大3ヶ月分のダメージを1回で補修」という謳い文句は、科学的根拠に乏しい。
コスパが悪すぎる
1298円で170mlは、この成分内容なら500円でも高い。同価格帯なら、もっと優れた選択肢が山ほどある。
刺激性防腐剤の使用
メチルイソチアゾリノン系は、2018年の皮膚科学研究でアレルギーリスクが指摘されている成分。
「高級レストランの看板で、ファストフードを出す店」
パンテーンEXPカプセル美容液ヘアマスクは、パッケージと謳い文句だけが美容液級という製品です。カプセルという視覚的演出は確かにユニークですが、中身は至って普通のコンディショナー。いや、普通のコンディショナー以下と言った方が正確かもしれません。配合成分レベル0.9点、総合評価1.87点という数字は、2588製品中2239位という順位とともに、この製品の実力を雄弁に語っています。
特に問題なのはコストパフォーマンス。1298円という価格設定は、この成分内容では到底正当化できません。同じ価格帯なら、資生堂フィーノやLUXプレミアムなど、もっと成分的に充実した選択肢があります。P&Gというグローバル企業のブランド力と流通力で売上を作っているのは理解できますが、消費者の立場から見れば「もっと良いものを選べる」というのが正直な感想です。
2022年のコンシューマーレポート誌の調査では、ヘアケア製品の満足度は成分内容と価格のバランスが最も重要という結果が出ています。この製品はそのバランスが完全に崩れており、ブランドイメージで購入する以外の理由を見つけるのが難しい。「パンテーンだから」「新製品だから」という理由だけで選ぶと、後悔する可能性が高いでしょう。
この製品を買う前に、成分表示をしっかり確認してください。「美容液」「カプセル」という言葉に惑わされず、実際の中身を見極める目を持つことが大切。同じ予算なら、LUXプレミアム ボタニフィーク(約900円)や資生堂フィーノ(約1000円)の方が、配合成分的には遥かに優秀です。
ヘアケアは毎日のこと。だからこそ、賢く選んで、本当に髪に良いものを使いましょう。
シャンプー解析ドットコム・カイセキストアなどを運営。