解析結果
総合点
総合ランク
成分数
植物エキスの数
コスパ
安全性
素材の品質
洗浄剤の品質
洗浄力
髪補修力
育毛力
使用感の良さ
エイジングケア
ホワイトニング効果
保湿効果
スキンケア力
環境配慮
浸透力
即効性
持続性
ツヤ感
サラサラ感
特に優れた素材
注意が必要な素材
香り
サイズ (cm)
サブカテゴリ
メーカー
株式会社ビーファーストブランド名
Liebe容量
300ml参考価格
1780円1mlあたり
5.9円JANコード
4562318494309ASIN
B0BWMTZD7N発売日
20230223KaisekiID
8973全成分
解析チームです。シャンプー市場という大海原に、また一つ、興味深い小舟が漕ぎ出してきました。その名も「Liebe リーベ モイスチャー シャンプー」。手掛けるのは株式会社ビーファースト。正直、大手メーカーのような圧倒的な知名度はありません。しかし、彼らの製品哲学を覗いてみると、実に興味深い。「人だけでなく環境にも配慮し、街の水質資源を守る」と宣言し、生分解性率約95%という数値を掲げています。これは単なるマーケティング文句なのでしょうか?それとも、本当に成分のクオリティに裏打ちされた本物の哲学なのでしょうか?販売実績はほぼゼロ、口コミも見当たらない。まるでベールに包まれた新人アイドルのようですが、その成分表は、我々プロの目から見ると雄弁にその実力を物語っています。今回は、この未知なるシャンプーが、既存の勢力図を塗り替えるポテンシャルを秘めているのか、その核心に迫ってみたいと思います。
さて、まずはこのシャンプーの立ち位置を客観的なデータで確認しましょう。我々のデータベース「解析ドットコム」に登録されている3036製品中、総合ランクは381位。これは上位約12.5%に食い込む、なかなかの実力者であることを示しています。総合点は5点満点中3.58点と、平均を上回る評価です。
特に注目すべきは、そのスコアのアンバランスさ。「洗浄剤の品質」が5点満点中4.8点という、ほぼ満点に近い驚異的なハイスコアを叩き出している一方で、「洗浄力」は2.9点と平均を大きく下回ります。この一点だけでも、このシャンプーが「汚れをガッツリ落とす」ことではなく、「いかに優しく洗い上げるか」に全振りした設計思想であることが透けて見えますね。安全性も4.5点と非常に高く、肌への優しさを最優先に考えていることが伺えます。ただし、髪の骨格を再構築するようなケラチン系の成分は見当たらないため、「髪補修力」は3.5点と標準的なレベルに留まっています。これは、ハイダメージ毛の集中補修というよりは、日々のダメージ予防と質感向上に主眼を置いた製品だと言えるでしょう。まさに「攻め」より「守り」のシャンプー。その実力を、これからじっくりと解剖していきます。
このシャンプーの心臓部とも言える洗浄成分。その豪華な布陣には、正直言って驚かされました。価格に見合わない、いや、価格以上のクオリティです。
いきなり主役級の登場です。これは単なる洗浄剤ではありません。PPT(ポリペプチド)系洗浄剤と呼ばれるもので、洗浄成分自体が髪のダメージ部分に吸着し、補修する能力を持っています。洗浄と同時にケアができてしまう優れもの。コラーゲン由来なので、洗い上がりの髪にハリとコシを与え、しなやかな質感をもたらします。2014年の『日本化粧品技術者会誌』に掲載された研究では、PPT系界面活性剤が毛髪の強度を改善させることが示唆されており、洗浄によるダメージリスクを最小限に抑える働きが期待できます。非常に高価なため、この価格帯の製品に配合されているのは異例中の異例と言えるでしょう。
アミノ酸系洗浄剤の王様、と言っても過言ではないほどマイルドな成分です。ベビーシャンプーにも使われるほど低刺激で、洗いながら髪と頭皮に潤いを残すエモリエント効果が特徴。この成分が洗浄ベースの上位にきていることが、先ほどの「洗浄力2.9点」というスコアの主な理由です。洗浄力は穏やかですが、その分、頭皮に必要な皮脂まで奪いすぎないという大きなメリットがあります。
これもまたPPT系洗浄剤の一つ。大豆タンパク由来で、髪に保湿性と弾力性を与えながらソフトに洗い上げます。コラーゲンPPTがハリ・コシ担当なら、こちらはしなやかさ・潤い担当といったところでしょうか。異なる由来のPPT系洗浄剤を組み合わせることで、より多角的な質感向上を狙っている設計者の意図が感じられます。
きました、美容業界で話題の幹細胞エキス。「ウトビラー・スパトラウバー」という腐らないリンゴから抽出されたエキスで、その高い抗酸化作用が注目されています。これは髪そのものに作用するというより、頭皮環境を健やかに保つための「未来への投資」と言える成分。頭皮の酸化(いわばサビつき)を防ぐことで、これから生えてくる髪が健康に育つ土壌を整える役割を担います。即効性はありませんが、長期的なエイジングケアの観点からは非常に価値のある配合です。余談ですが、この成分は表皮幹細胞の寿命を延ばすという研究データもあり、スキンケア領域では非常に高く評価されています。
では、この個性的なシャンプーのメリットとデメリットを、もっと深く掘り下げていきましょう。
最大のメリットは、疑いようもなく「圧倒的な洗浄剤の質の高さ」です。ココイル加水分解コラーゲンKを筆頭とするPPT系洗浄剤を複数配合し、アミノ酸系の王様ココイルグルタミン酸TEAで優しく包み込む。この処方は、通常であれば3,000円以上のサロン専売品に見られるレベルです。これを1,780円で実現しているのは、正直言って驚異的。洗いすぎによる乾燥や頭皮のつっぱり感に悩む乾燥肌・敏感肌の方にとっては、これ以上ないほど理想的な選択肢となるでしょう。洗浄剤自体に補修能力があるため、洗い流す瞬間から髪の指通りが違うと感じるはずです。
一方で、このメリットはそのままデメリットにも繋がります。スタッツが示す通り、洗浄力は2.9点と非常にマイルド。これは、ワックスやヘアオイルを多用する方、あるいは皮脂分泌が活発な脂性肌の方にとっては、物足りなさを感じる可能性が高いことを意味します。二度洗いが必須になるかもしれませんし、それでもスッキリ感が得られないかもしれません。また、「髪補修力」は3.5点と悪くはありませんが、あくまで洗浄剤による補修がメイン。資生堂プロフェッショナルのような製品に見られる加水分解ケラチンやペリセアといった、毛髪内部の空洞を埋めるような本格的な補修成分は含まれていません。そのため、ブリーチを繰り返したハイダメージ毛を劇的に改善するほどのパワーは期待しない方が賢明です。
そして、もう一つの見過ごせない点が「販売実績の乏しさ」。どれだけ成分が良くても、市場で評価されていないという事実は、購入の際の心理的なハードルになります。しかし、これは逆に言えば「まだ誰にも知られていない隠れた名品」である可能性も秘めているわけです。有名ブランドの安心感を取るか、未知の可能性に賭けるか。ここはユーザーの価値観が問われる部分でしょう。
さて、Liebe リーベ モイスチャー シャンプーを丸裸にしてきましたが、いかがでしたでしょうか。このシャンプーは、万人に勧められるオールラウンダーではありません。しかし、特定の悩みを抱える人にとっては、まさに「救世主」となり得るポテンシャルを秘めた、極めてユニークな一本です。洗浄剤のクオリティに異常なほどこだわり、その優しさを追求した結果、洗浄力という要素をあえて切り捨てた。その潔さには、開発者の強い哲学を感じずにはいられません。
もしあなたが、「シャンプーは汚れを落とすもの」という常識に縛られ、洗浄力の高い製品を使い続けた結果、かえって頭皮の乾燥や髪のパサつきに悩んでいるのなら…このシャンプーは試す価値が大いにあります。それは、髪と頭皮を「リセット」し、本来あるべき健やかな状態へと優しく導いてくれる、最初のステップになるかもしれません。市場実績がないからこそ、広告費などが上乗せされていない、純粋な成分価値を体感できるチャンスとも言えます。あなたのバスルームに、まだ誰も知らない本物の一本を置いてみませんか?
シャンプー解析ドットコム・カイセキストアなどを運営。