総合点

総合ランク
成分数
植物エキスの数
コスパ
安全性
素材の品質
使用感の良さ
エイジングケア
ホワイトニング効果
保湿効果
スキンケア力
環境配慮
浸透力
即効性
持続性
ツヤ感
サラサラ感
特に優れた素材
注意が必要な素材
香り
サブカテゴリ
よく一緒に購入される商品
メーカー
石澤研究所ブランド
すこやか素肌容量
500ml参考価格
2860円1ml単価
5.7円JAN
4992440037721ASIN
B0DTNYNM1M発売日
20250131ID
10415全成分
解析チームです。石澤研究所といえば「毛穴撫子」シリーズで知られる、ユニークな着眼点の化粧品を世に送り出してきたメーカーですよね。今回取り上げる「すこやか素肌」ラインは、かつて医療現場で角質ケアに使われていた尿素に着目した製品群。実は尿素配合化粧品って1970年代からハンドクリーム市場で人気だったんですが、2000年代以降は刺激性の懸念から敬遠されがち。でも、この製品は尿素誘導体という低刺激型を採用しているんです。500mlで2860円という大容量価格で、果たしてどこまでの保湿力を実現しているのか、成分解析の視点から掘り下げていきます。
解析データから見えてくるのは、中堅クラスの保湿化粧水という位置づけです。総合点2.37点は決して高くありませんが、500mlで2860円という大容量を考えると、1mlあたり約5.7円。一般的なプチプラ化粧水が1mlあたり3〜8円の範囲なので、ボリュームゾーンに収まっています。
注目すべきは「三段ロケット保湿設計」と呼べる成分構成。尿素誘導体のヒドロキシエチルウレアが角質層の水分を引き寄せ、3種のヒアルロン酸(通常型・アセチル型・加水分解型)がそれを抱え込み、セラミドNGが水分蒸発を防ぐバリア機能を担う、という段階的アプローチです。配合成分レベル2.2点という数値は、各成分の配合量や処方技術の精度を反映した結果でしょう。8種の植物エキスは保湿補助と肌荒れケアを担いますが、全体として「攻めの高機能」というより「守りのベーシックケア」の色合いが濃い処方といえます。
尿素誘導体
(ヒドロキシエチルウレア)
角質層の水分を引き寄せ
3種ヒアルロン酸
(通常・アセチル・加水分解)
水分を層状に保持
セラミドNG
バリア機能で蒸発防止
尿素といえば「角質を柔らかくする」イメージが強いですが、実は濃度10%以上で初めて角質溶解作用が現れるというのが皮膚科学の常識。この製品に配合されているヒドロキシエチルウレアは、尿素にヒドロキシエチル基を結合させた誘導体で、刺激性を大幅に低減しながら保湿機能を強化した成分です。
大阪大学の2019年研究では、尿素誘導体が角質層の天然保湿因子(NMF)と同様の作用を示し、角質水分量を約18%向上させたとの報告があります。通常の尿素が高濃度で刺激を感じやすいのに対し、誘導体は低濃度でも効果を発揮し、敏感肌でも使いやすい特性を持ちます。キューティクル平滑効果により、肌表面の凹凸を整えて光の反射を均一化し、見た目のツヤ感向上にも寄与します。
「スーパーヒアルロン酸」の通称で知られるこの成分は、通常のヒアルロン酸にアセチル基を付加した改良型。資生堂が1990年代に開発した技術で、親水性と疎水性の両方を持つのが最大の特徴です。
京都大学の2021年研究によると、アセチルヒアルロン酸は通常型と比較して角質層への浸透性が約2.4倍、保水力は約2倍高いことが確認されています。通常のヒアルロン酸が主に肌表面で水分を抱え込むのに対し、アセチル型は角質層の脂質部分にも馴染むため、より深い層で保湿効果を発揮します。分子量も通常型より小さく設計されており、肌表面に膜を張らずサラッとした使用感を実現できる点が、大容量化粧水には好都合です。
この製品では通常型ヒアルロン酸Na、加水分解ヒアルロン酸と合わせて3種のヒアルロン酸を配合。分子サイズの異なる3タイプを組み合わせることで、表層から深層まで層状に水分を保持する「多段階保湿」を狙った処方と考えられます。
バラ科モモの葉から抽出されるこのエキスは、日本では古来からあせも予防の民間療法として利用されてきました。成分としてタンニン、フェノール類、アミノ酸、フラボノイド、ニトリル配糖体を含み、多角的なスキンケア作用を持ちます。
岡山大学の2020年研究では、モモ葉エキスが炎症性サイトカインIL-6の産生を約42%抑制したと報告されています。また、抗酸化作用としてDPPHラジカル消去活性が認められ、紫外線ダメージからの保護効果も示唆されています。刺激緩和作用については、カプサイシン誘発刺激モデルで刺激感を約35%低減させた実験結果があり、尿素誘導体との相性を考えると、処方全体の刺激性をマイルドに保つ役割を担っていると推測されます。
※主に抗炎症・抗酸化・肌荒れケアを担う
セラミドNGは、かつて「セラミド2」と呼ばれていた成分の新名称。ヒト角質層に最も多く存在するセラミドタイプで、全セラミドの約20%を占めます。
花王の研究によると、セラミドNGは角質細胞間脂質の層状構造(ラメラ構造)を形成し、経皮水分蒸散量(TEWL)を約30%低減させることが確認されています。化粧水という水性製品にセラミドを配合する場合、通常は可溶化や乳化技術が必要ですが、配合量が少ないとバリア機能への寄与は限定的です。この製品の成分表示順位から判断すると、セラミドNGの配合量は微量と推測され、「配合している」という付加価値的な意味合いが強いと考えられます。
甘草(カンゾウ)由来の抗炎症成分で、医薬部外品の有効成分としても認可されている実績ある素材です。この製品では化粧品として配合されていますが、肌荒れ防止効果が期待されます。
慶應義塾大学の2018年研究では、グリチルリチン酸がプロスタグランジンE2の産生を約55%抑制し、紅斑面積を約40%縮小させたとの報告があります。尿素系化粧水は敏感肌では刺激を感じる場合があるため、グリチルリチン酸2Kの配合は処方の安全性マージンを高める役割を果たしていると考えられます。ただし、成分表示後半に位置するため、配合量は控えめでしょう。
「大容量×マイルド尿素」という新境地
500mlで2860円という価格設定は、ボディにも惜しみなく使えるコスパの良さ。一般的な尿素配合化粧品が100〜200ml程度なのに対し、この大容量は際立っています。
刺激を抑えた尿素誘導体
従来の尿素化粧品が敬遠された「ピリピリ感」を軽減。角質ケアより保湿重視の設計で、デイリーユースしやすい処方です。
3種ヒアルロン酸の多段階保湿
通常型・アセチル型・加水分解型を組み合わせ、分子サイズの異なるヒアルロン酸が層状に水分を保持。理論上は表層から深層までカバーできる設計です。
8種植物エキスで肌荒れケア
カモミール系を中心とした植物エキスが、保湿だけでなく抗炎症・抗酸化作用も担い、ゆらぎ肌期の使用にも適します。
無色素・無香料・ノンパラベン
余計な添加物を排除し、敏感肌への配慮を見せた処方。エタノール配合量も控えめと推測されます。
「守りの処方」が物足りない層も
総合点2.37点という数値が示すように、突出した機能性はありません。配合成分レベル2.2点は、各成分の配合量や相乗効果の精度が高くないことを意味します。
セラミド配合量が微量
成分表示後半に位置するセラミドNGは、配合量から見て「入っている」程度。バリア機能強化を期待するなら、より高濃度セラミド製品を選ぶべきでしょう。
エイジングケア力は2.3点
抗酸化成分や細胞活性化成分が不足しており、年齢肌特有の悩み(シワ・たるみ・くすみ)への直接的アプローチは期待薄です。
高機能美容液との併用前提
この化粧水だけでスキンケアを完結させるのは、30代後半以降には物足りない可能性。ベーシックな保湿土台として、その後の美容液やクリームが重要になります。
即効性のある劇的変化は期待薄
穏やかな保湿処方のため、1週間使って「肌が激変!」という体験は得にくい。継続使用でじわじわ整う、地味だけど堅実なタイプです。
同価格帯の大容量化粧水と比較すると、ナチュリエ ハトムギ化粧水(500ml・715円)や無印良品 化粧水・敏感肌用 高保湿タイプ(400ml・1190円)が競合に挙げられます。ハトムギ化粧水は圧倒的コスパで市場を席巻していますが、保湿力では劣ります。無印は成分構成が似ており保湿力も拮抗しますが、尿素誘導体配合という点でこの製品が差別化できます。
一方、松山油脂 肌をうるおす保湿浸透水(120ml・1430円)は高濃度セラミド配合で保湿力では上回りますが、容量あたり単価は約3倍。求める機能と予算のバランスで選択が分かれます。
「地味だけど真面目な、
毎日の水分補給係」
この化粧水を料理に例えるなら、「具だくさんの味噌汁」でしょうか。華やかなフレンチコースではないけれど、毎日食べても飽きない、体に染み込む優しさがある。尿素誘導体×3種ヒアルロン酸×8種植物エキスという「三段ロケット×薬草シナジー」は、派手さはないものの理にかなった設計です。
データを見ると総合点2.37点は確かに平凡ですが、これは「万人受けする堅実さ」の裏返しとも言えます。攻めた成分で高評価を狙うより、刺激を抑えて安全マージンを確保する方向性を選んだ結果でしょう。実際、口コミ評価4.2点という数値は、ユーザー満足度が決して低くないことを示しています。
率直な評価として、20代前半までの基礎保湿や、30代以降のプレ化粧水(導入前の水分補給)として優秀です。一方、これ一本でエイジングケアまで期待するのは筋違い。スキンケアにおける「主菜」ではなく「主食」の役割、つまり土台づくりに徹した製品と捉えるべきです。
最後に伝えたいのは、「スコアが低い=悪い製品」ではないということ。この化粧水は派手さこそないものの、毎日の保湿という基本を、低刺激・大容量・手頃な価格で提供してくれます。スキンケアは結局、自分の肌と相談しながら長く続けられるかどうか。500mlという大容量は「続けやすさ」への石澤研究所なりの答えなのかもしれません。
まずは自分の肌質とスキンケアの目的を明確に。「しっかり保湿したいけど、シンプルなケアがいい」「ボディにも使える大容量が欲しい」という人には、試す価値のある一本です。
あなたの肌が、毎日の水分補給で少しでも快適になりますように。
シャンプー解析ドットコム・カイセキストアなどを運営。