総合点

総合ランク
成分数
植物エキスの数
コスパ
安全性
素材の品質
髪補修力
育毛力
使用感の良さ
エイジングケア
ホワイトニング効果
保湿効果
スキンケア力
環境配慮
浸透力
即効性
持続性
ツヤ感
サラサラ感
特に優れた素材
注意が必要な素材
香り
サイズ (cm)
サブカテゴリ
メーカー
ホーユーH&B事業部ブランド
Care me(ケアミー)容量
450ml参考価格
1980円1ml単価
4.4円JAN
4987205882050ASIN
B0FP2CLG31発売日
2025-10-15ID
11040全成分
解析チームです。ホーユーといえば、サロン専売品「プロマスター」やカラー剤「ビューティーン」で美容業界では知らない人がいない老舗メーカー。その"H&B事業部"(ヘアアンドビューティ事業)が手掛けるのが、アパレルブランドUngridとコラボした「Care me」シリーズ。オーガニック認証成分を軸に、ISO16128という国際基準に則って設計されたこのライン、果たして「見た目重視の企画モノ」なのか、それとも「中身で勝負できる実力派」なのか。今回はウッディハーブの香りが特徴的なトリートメントを、成分・データ・実用性の3軸で徹底的に掘り下げていきます。
このトリートメント、解析ドットコムでの総合ランクは2588製品中1306位。ちょうど真ん中よりやや上といったポジション。総合評価は5点満点中2.28点で、率直に言えば「飛び抜けて良いわけではないが、致命的な欠点もない」という、ある意味でバランス型の優等生です。
特筆すべきは使用感スコア4.4点と保湿力4.2点。この2つが全体評価を支えています。逆に配合成分レベルは1.1点と控えめで、スカルプケア力も0.8点。つまり「頭皮改善やダメージ修復を本気で狙う製品ではなく、日常使いで心地よさを重視したい人向け」という設計思想が透けて見えます。業界平均と比較すると、保湿・感触面では約15%上回る一方、補修成分の濃度や種類では約20%下回る印象です。
皮膚表面に保湿膜を形成するエモリエント成分。親水性と親油性を兼ね備えた両親媒性の構造により、水分と油分を同時に抱え込み、肌(髪)表面に薄い保護層を作ります。この膜が外部刺激や乾燥から髪を守り、しっとり感の持続時間を延ばす仕組み。浸透性も良好で、キューティクル層の隙間に入り込みながら内部まで潤いを届けます。類似成分のトリエチルヘキサノインと比較すると、保湿持続力で約1.3倍の優位性があるとされる一方、ややベタつきを感じやすい点には注意が必要です。
髪の主成分であるケラチンを加水分解し、さらに4級カチオン化(プラスに帯電)させた補修成分。ダメージ部位に選択的に吸着するのが最大の特徴で、健康な部分には過剰に付着せず、傷んだ箇所だけをピンポイントで狙い撃ちします。この「選択吸着性」により、髪全体が重くならず、必要な場所だけ弾力と保湿が高まる設計。
羊毛由来ケラチンは、人毛ケラチンと比べてシスチン結合(髪の強度を決める結合)の含有率が高く、補修効果の即効性で優れるとされています。ただし分子量が大きいため、深部浸透よりも表面コーティングがメイン。
シリコーンの一種で、通常のジメチコンよりも皮膜形成力が高いのが特徴。髪表面に薄く均一な膜を作り、摩擦を軽減しながら滑らかな手触りを実現します。揮発性が低く、洗髪後も一定時間効果が持続するため、ドライヤーの熱ダメージからも髪を保護。適度な粘性がメイクやスタイリング剤の定着力を高める効果もあり、ヘアケアだけでなくスキンケア製品にも応用される万能素材です。刺激性が極めて低く、敏感肌でも使いやすい点も評価できます。
ワインやブドウに含まれる天然由来のα-ヒドロキシ酸(AHA)。角質柔軟作用により肌(頭皮)表面の古い角質を穏やかに除去し、ターンオーバーを促進します。保湿効果も持ち合わせており、肌のバリア機能をサポート。ただし配合濃度が低い場合、pH調整剤としての役割が中心になることも。このトリートメントでは成分表の後方に位置しているため、ピーリング効果というよりは製品全体のpH安定化が主目的と推測されます。
最近の研究で注目されている植物エキス。抗糖化作用(AGEs=終末糖化産物の生成抑制)があり、髪の老化防止に寄与する可能性が指摘されています。2021年の国際化粧品技術者会連盟(IFSCC)の論文では、ネムノキエキスがコラーゲンの糖化を約30%抑制したとの報告も。ただし頭皮や毛髪への具体的な効果を示す大規模試験はまだ少なく、今後のエビデンス蓄積が待たれる成分です。
「コクのある仕上がり」という絶妙なポジション
重すぎず軽すぎず、普通毛〜やや細毛の人にとっては「ちょうどいい質感」を提供。保湿力4.2点・使用感4.4点という数値が物語るように、体感的な満足度は高い。特にシリコーンコポリマーと保湿膜形成成分の組み合わせが、乾燥によるパサつきを防ぎながらも、ペタッとしない軽やかさを実現しています。
ISO16128準拠のオーガニック設計
国際基準に則った自然由来指数の管理は、成分選定の透明性という点で評価できます。シア脂やメドウフォーム油といった植物由来の保護成分が、ケミカルな補修剤だけに頼らないマイルドな使用感を支えています。
「攻め」の機能性は期待薄
配合成分レベル1.1点、スカルプケア力0.8点という数値が示すように、深刻なダメージ補修や頭皮トラブルへの対応力は弱い。ハイダメージ毛やカラー・ブリーチ後の集中ケアには物足りなさを感じるでしょう。ケラチン誘導体は配合されているものの、濃度や分子サイズのバリエーションが限定的で、深部補修というよりは表面保護が中心です。
コスパは「普通」の域
450mlで1980円(100mlあたり約440円)は、ドラッグストアブランドとしては標準的。総合点2.28点という評価を考えると、「価格相応」ではあるものの、同価格帯でより高機能な選択肢が存在するのも事実です。Ungridとのコラボという付加価値をどう評価するか次第。
「派手さはないが、毎日使える安定感」——それがこのトリートメントの正体です。例えるなら、「いつもの定食屋のハンバーグ」。ミシュランの星は取れないけど、週3で通いたくなる安心感がある。そんな立ち位置。
総合ランク1306位という数字は、決して悪いものではありません。2500以上の製品の中で中位に位置し、使用感・保湿力では平均を上回る実力を持っています。ただし「劇的な変化」や「特別な機能性」を求める人には、物足りなさが残るでしょう。配合成分のレベルやスカルプケア力の低さは、「攻めるトリートメント」ではなく「守るトリートメント」という設計思想の現れ。日々のダメージを予防し、現状維持を目指す製品として捉えるのが正解です。
Ungridとのコラボという「見た目の良さ」、ISO16128準拠という「成分の透明性」、ウッディハーブという「他にない香り」——これらの付加価値に魅力を感じるなら、選択肢として十分アリ。逆に、純粋に「成分の質と補修力」だけで選ぶなら、同価格帯にもっと攻めた製品が存在します。
あなたが求めるのは「毎日の心地よさ」ですか? それとも「集中補修のパワー」ですか? その答えが、このトリートメントを選ぶべきかどうかの分かれ道です。
シャンプー解析ドットコム・カイセキストアなどを運営。