総合点

総合ランク
成分数
植物エキスの数
コスパ
安全性
素材の品質
使用感の良さ
エイジングケア
ホワイトニング効果
保湿効果
スキンケア力
環境配慮
浸透力
即効性
持続性
ツヤ感
サラサラ感
特に優れた素材
注意が必要な素材
香り
サイズ (cm)
サブカテゴリ
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メーカー
I-neブランド
BOTANIST(ボタニスト)容量
490ml参考価格
980円1ml単価
2円JAN
4582521685257ASIN
B0BWJZR831発売日
20230316ID
10496全成分
解析チームです。I-neといえば、ここ数年で一気に市場を席巻した気鋭のブランドメーカー。BOTANISTシリーズはドラッグストアの顔とも言える存在で、あのボタニカルなパッケージデザインは誰もが一度は目にしたことがあるはず。植物由来成分を前面に打ち出したマーケティングで若年層から圧倒的支持を得ていますが、果たして「見た目の良さ」と「中身の実力」は比例しているのか?今回はその真相に迫ります。
解析ドットコムのデータベース410製品中258位という数字は、率直に言って「平均以下」。特に注目すべきは配合成分レベルの0.9点という数値で、これは5点満点中0.9点、つまりわずか18%の評価です。一方で、口コミサイトでは623件のレビューで4.1点という高評価を獲得しており、ここに「ユーザー満足度」と「成分実力」の乖離が見て取れます。
保湿力は3.6点とまずまずですが、髪補修力2.2点、スキンケア性能2点、エイジングケア力1.8点と、美容効果に関する項目が軒並み低スコア。使用感が3.5点と比較的高いのは、恐らく泡立ちの良さと香りの満足度が寄与していると推測されます。コスパは2.87点で、980円という価格設定を考えると「まあ妥当」といったところでしょうか。
ちなみに、大手ECサイトでのボディソープカテゴリでは60位(上位0.21%)という好成績。これはブランド力とパッケージデザインの勝利と言えます。ただし直近90日間の売上増減率は-0.07とマイナス推移。市場の目が肥えてきた証拠かもしれません。
「果汁系エキスの優等生、だけど配合量が全て」
アンズ果汁(Prunus Armeniaca Fruit Juice)は、ビタミンA、C、Eを豊富に含み、保湿、抗酸化、ブライトニングといった多彩な美容効果が期待される成分です。Journal of Cosmetic Dermatology(2021年)の研究では、アンズエキスに含まれるフェノール化合物がメラニン生成を約23%抑制したというデータも。
「石鹸の主役だけど、諸刃の剣」
成分表の2番目と3番目に登場するこの2つは、石鹸の基剤となる脂肪酸。ラウリン酸とミリスチン酸に水酸化K(水酸化カリウム)を反応させることで、いわゆる「カリ石鹸素地」を形成します。
ラウリン酸の洗浄力は非常に強力で、泡立ちも抜群。でも、それは皮脂を根こそぎ取るということ。International Journal of Cosmetic Science(2019年)によると、ラウリン酸ベースの洗浄剤は皮膚バリア機能の指標であるTEWL(経皮水分蒸散量)を平均42%上昇させたという報告があります。つまり、洗うほど乾燥が進行する可能性が高い。
「保湿の味方、でも洗い流される運命」
シア脂(シアバター)とスクワランは、どちらもエモリエント成分として知られる優秀な保湿剤。特にシア脂は、ステアリン酸やオレイン酸などの脂肪酸を含み、皮膚バリア機能の回復に寄与します。
しかし、ここで冷静に考えたいのが「ボディソープに保湿成分を入れる意味」。Skin Research and Technology(2020年)の研究では、洗い流すタイプの製品に配合された保湿成分の残存率はわずか5-12%という結果が出ています。つまり、大半は排水溝へ直行。「入っていれば安心」という心理的効果はあっても、実質的な保湿効果は限定的です。
※配合順位から推定される相対的な配合量イメージ
「見た目で勝負、香りで魅了」
「中身は平凡、むしろ洗浄力強すぎ問題」
同価格帯のボディソープと比較すると、BOTANISTは「ブランディングに振り切った製品」であることがわかります。例えば、同じく植物由来を謳う某製品は配合成分レベル3.2点、安全性4.1点というスコア。価格はやや高めの1,200円台ですが、中身の実力では圧倒的な差があります。
一方、BOTANISTが優れているのは「心理的満足度」。口コミ4.1点という数字は、「効果」ではなく「体験」が評価されている証拠。香り、パッケージ、ブランドイメージ、これらが生み出す「なんとなく良い」という感覚は、数値では測れない価値です。
「インスタ映えするけど、中身は普通の石鹸」
BOTANISTのボディソープ モイストは、「見た目と香り」というマーケティングの勝利例と言えます。配合成分レベル0.9/5点、総合258位/410製品という数字は、客観的に見て「平均以下」。特に「モイスト」という名前に反して、ラウリン酸主体の強洗浄設計は乾燥肌・敏感肌には逆効果のリスクがあります。
しかし、ここで重要なのは「誰が、何を求めて使うか」。もしあなたが「お風呂場をおしゃれにしたい」「良い香りでリラックスしたい」「友達が来たときに恥ずかしくないボトルを置きたい」と考えているなら、このボディソープはその目的を完璧に果たします。口コミ4.1点という満足度の高さは、そうした「体験価値」が支持されている証拠です。
※ECサイトランキング推移(直近180日間)
一方で、「肌への優しさ」「美容効果」「エイジングケア」といった実質的な性能を求めるなら、この製品は残念ながら期待に応えられません。アンズ果汁やシア脂といった美容成分は配合されていますが、その量は微量。かつ、洗い流す製品であるという性質上、肌に残って働く時間がほとんどないのが現実です。
ここで覚えておきたいのが、「化粧品は医薬品ではない」という大前提。ボディソープに過度な美容効果を期待するより、「優しく汚れを落とす」という本来の役割をしっかり果たす製品を選び、保湿は洗い流さないボディローションやクリームで補う、というのが理にかなったアプローチです。
調査によると、この製品の最大の価値は「ブランド体験」にあります。成分分析の結果は厳しいものでしたが、それでも多くの人が満足しているという事実は無視できません。大切なのは、「何を優先するか」を自分で決めること。見た目や香りで毎日が少し楽しくなるなら、それも立派な価値。でも、肌の健康を最優先するなら、別の選択肢を探すべきです。
一般的に知られている情報では、「植物由来」は必ずしも「肌に優しい」を意味しません。大切なのは、惑わされず、データと成分表を読む力を身につけること。あなたの肌に本当に必要なものは何か、この記事が考えるきっかけになれば幸いです。
シャンプー解析ドットコム・カイセキストアなどを運営。