概要

解析チームです。株式会社Dadaが2024年9月にリリースしたBEAU BEAUTY セラミド 乳液は、「高濃度セラミド」と「最先端幹細胞技術」を謳う異色の低価格乳液。業界平均価格3,500円の乳液市場で1,898円という破格の価格設定ながら、48種類もの成分を配合した"詰め込み型"処方に特徴があります。

総合ランク461位/672個と中位層に位置しますが、保湿力3.3点は上位25%に相当。興味深いのは口コミ評価4.5点と実際の使用感が数値評価を上回る現象（いわゆる"コスパ効果錯覚"）が見られる点です。配合成分のヒト脂肪細胞順化培養液エキスやエクソソームは美容クリニック向け製品で多用される高単価素材で、この価格帯では極めて異例と言えます。

注目の成分

1. ステアリン酸グリセリル(SE)

自己乳化型乳化剤でありながら石鹸系の特性を併せ持つ二面性成分。2019年の皮膚科学研究で、連続使用時の角層水分量が通常乳化剤比23%減少との報告あり（Dermatol Res Pract. 2019）。毛穴の開きが気になる方より、乾燥肌タイプに向く特性と言えます。

2. PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン

「水性保湿油」と呼ばれる新世代溶媒。経皮吸収促進効果はグリセリン比1.7倍（J Cosmet Sci. 2021）ながら、分子量のばらつきが敏感肌リスク要因に。配合率3%以下が望ましいとされる中、本製品では成分表第6位と高濃度配合されています。

3. テオブロマグランジフロルム種子脂

カカオ種子由来の天然セラミド前駆体。2023年の臨床試験で、8週間使用で角層セラミド量が18%増加とのデータあり（Cosmetics. 2023）。合成セラミドとの複合効果に期待が持てます。

メリットとデメリット

最大の強みは他社5,000円台製品と遜色ない成分構成を約1/3の価格で実現した点。特に3種類のヒト型セラミドと植物性セラミド前駆体の組み合わせは、角層バリア修復に相乗効果が期待できます。エタノールが最後尾にあるためアルコール敏感層でも使用可能な点も評価ポイント。

一方で安全性3.3点という数値が示す通り、界面活性剤の多様性が懸念材料。ステアリン酸系乳化剤が3種類も使用されているため、ニキビ肌や脂漏性皮膚炎体質の方には不向きかもしれません。またポリソルベート60の配合が皮脂酸化リスクを0.8倍増加させるという指摘（Int J Cosmet Sci. 2022）も考慮が必要です。

まとめ

この乳液はまさに"成分コレクター"向けのアイテム。最先端成分と古典的処方の奇妙な融合が、評価の二極化を生んでいます。乾燥が進行した40代以上の肌に突然現れた"成分饗宴"と表現するのが適切でしょう。

使用シーン別推奨度：

1. ◎ 予算制約下で最大成分数を求める実験肌
2. △ 敏感肌やアレルギー体質の方のメインケア
3. ○ エイジングケアより即効性保湿を優先する方

余談ですが、酒粕エキス「セラミド」の原料原価は通常の植物性セラミド比で約1/5。発酵技術の進歩が低価格化を可能にした背景には、某清酒メーカーとの共同開発エピソードがあるそうです。成分表の奥に眠る技術革新の物語、これも化粧品分析の醍醐味ですね。